バロン

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「モンティパイソン」を初め、「バンデットQ」「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」「ラスベガスをやっつけろ」「ロスト・イン・ラ・マンチャ」などなど、ちょいとカルトな作品が目白押しのテリー・ギリアム監督の作品だ。「ほら吹き男爵の冒険」をモチーフにしたSF風な、それでいてコメディ芝居のような、ジャンル分けの難しい話なのだが、あんまり気にしないで観るといいかも。主人公のほら吹き男爵ことバロンを演じるのは、「The X-Files」のThe Well-Manicured Manでおなじみの(?)ジョン・ネビルだ。

中世ヨーロッパのとある街は今、押し寄せるトルコ軍に包囲され、城壁を固く閉ざして篭城状態にあった。それでも戦火の中、壊れかけた劇場では「ほら吹き男爵」の芝居が演じられていたのだった。が、そこにやせ細った犬を連れた、一人の老騎士が現れ、「この芝居はでたらめだ。私が本物のバロンだ」と叫ぶ。あっけに取られる役者や観客達に対して、この老騎士は「トルコ軍が攻めてくる本当の理由を教えよう。それは私のせいなのだ」と語りだす。芝居のような、本当のような、いや大ぼらのような話が始まるのだった。

トルコ皇帝と賭けをして勝ったバロン。彼には超能力を備えた四人の家来がいたのだ。トルコとウィーンとの間を一時間で走って往復できる韋駄天男、千里先の音を聞き分けたり、吹く息でトルコの兵隊達を吹き飛ばしてしまえる小人(政治的に正しい表現だとなんと言うのかな。。。)の男、地球の裏側の的を撃ち抜く脅威の視力を持った男、そしてトルコ皇帝の宝物庫の中身全部を抱えてしまえる怪力男だ。賭けに負けた上に宝物をごっそりと持っていかれて怒り出したトルコ皇帝、この戦争の原因はそれだったのだ。そんな訳で、彼は街の人々に対し、トルコ皇帝を倒して戦争を終わらせることを約束する。だが、彼の家来達は今や世界中にバラバラになってしまっていた。まずは彼らを探すところからバロンの冒険の旅が始まる。バロンのことを信じて疑わない、芝居一座の団長の娘も付いてきてしまった。二人はいきなり月に飛び、頭と胴体とが分離している月の王と王妃から韋駄天男を救い出し、火山の中の鉱山で武器を作っている神様の元から怪力男を連れ出し、そして巨大魚に飲み込まれていた小人の男と視力のいい男と合流する。さぁこれでトルコ皇帝とその軍隊に立ち向かえるぞ、と思ったのだが、自分を初め、家来達もみんな歳をとってしまっていて、よぼよぼだったのだ。諦め、街は平和だと嘯くバロン。だが、団長の娘の信じる心に動かされ、バロンや家来達は昔の力を蘇らせるのだ。かくしてトルコ軍は敗走し、街は救われたのだ。うむ、めでたしめでたし。

この作品、興行的には失敗だったようだが、私は好きだ。信じる心、夢見る心、想像力は「創造」力に繋がっていく気にさせてくれるのだ。そして、今改めて観てみると、また別の楽しみもある。若きユマ・サーマンが女神の役で出ていたり、ロビン・ウィリアムスが好色な月の王を開演していたり、どこに出ていたかわからないけど、スティングも出演者リストに載っている。そうそう、監督自身も出ているらしいが、こちらも見つけられないでいる。あー、楽しかった。


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