「グランマ・モーゼス展」

渋谷文化村でやっている「グランマ・モーゼス展」を観に行ってきた。半世紀以上前のアメリカの田舎、ニューイングランド地方の風景を描き続けた”おばあちゃん”画家の作品展だ。素朴派と呼ばれる画風で、素人の私から見ても、遠近法には反しているし、人物は漫画のようで、決してきっちりした絵にはなっていない。でも、観ていると楽しくなってしまうのだ。ブリューゲルも農村画家と呼ばれ、農村の景色を背景に、人々の様子を事細かに描いているが、我らがおばあちゃんはあそこまで詳細な描写はしていない。でも、仕事に精を出す人々の息遣いや、そり遊びをしている子供らの歓声が伝わってくる感じがする。

春夏秋冬、四季折々の農村風景を描いているが、今回の展示はその季節ごとに分類して並べている。私は夏の風景が気に入った。遠くの山々が緑に覆われ、手前の丘は牧草地となっていて、柵でいくつにも区画ができている。牛達が食べた草の量が違うのだろうか、それとも陽のさし方によるのだろうか、その緑の区画一つずつが、ちょっとずつ色が違っているのだ。まるでそれはパッチワークのようだ。我らがおばあちゃん、若いうちは絵画ではなく、刺繍によって風景を描いていた。いろんな色の糸を使って、絵画のように描いていたのだ。そんな感覚があったからだろうか、このパッチワーク様の画風は。良く見れば、樹木の葉も、刺繍糸で作られたもののように粗い点描という感じだ。

それにしても我らがおばあちゃんのバイタリティはすごい。病気で刺繍ができなくなったあと、七十歳にして絵を描き始めたそうで、101歳でなくなるまでに1600点以上もの作品を残したそうだ。いやぁ、恐れ入ります。

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