SOMPO美術館 「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び 開館記念展」やっと観に行けました

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美術展・写真展
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Windam Art PRさんから招待券をいただき、リニューアル・オープンしたSOMPO美術館で「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び 開館記念展」を見てきました。

Sompo Museum of Art

展示内容

五月末に予定されていたSOMPO美術館のリニューアル・オープンがコロナウイルスのパンデミックによって延期になってしまっていました。が、やっと7/10に実現。本展も開催となったのです。

リニューアル第一段のお披露目企画は、名前の通りに収蔵品から選りすぐりの作品を選んだもの。公式サイトの説明によると、

新美術館のオープンを飾る本展では、当館のコレクションの中でも際立つ優品を集め、フランス近代絵画の中でも人気の高いゴーギャンやセザンヌ、ユトリロをはじめ、日本画壇の重鎮である東山魁夷や平山郁夫などを幅広く紹介します。

ゴッホ《ひまわり》は、特別に設計したスペースで、これまでよりも近くから鮮やかなその色彩をご覧いただけます。

また、修復を終えた2作品も見どころです。大正・昭和期に京都で活躍した日本画家、山口華楊による初期の大作《葉桜》の屏風絵は、全面的な修復を行い、約10年ぶりに公開します。ルノワールの《浴女》は古いニスの除去によって、本来の明るい色彩を取り戻した姿で展示します。

【開館記念展】珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び | SOMPO美術館

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • 第1章 四季折々の自然
  • 紹介:SOMPO美術館の建築
  • 第2章 「FACE」グランプリの作家たち
  • 第3章 東郷青児(1978–1897)
  • 第4章 風景と人の営み
  • 第5章 人物を描く
  • 第6章 静物画―花と果物

東郷青児の師匠や同世代の関わりのあった日本人画家たちの作品が最初に展示されている。岸田夏子の「桜花」や山口華楊の「葉桜」が(ちょっと季節がずれちゃったけど)満開の花を咲かせて来場客を出迎えているようだった。
山口華楊の「幻化」は、吸い込まれるような淡い色調で幻想的。それでいて狐たちや草花は細部まできっちり描かれている。遠くから眺め、そして近寄ってジックリ観るべき一枚。
岸田劉生が若い頃に描いた「虎ノ門風景」は、本人が後期印象派の模倣だと語っているくらい、赤茶けた色合いと言い、デフォルメされた建物の形と言い、“観たことある”感じだ。あの「麗子像」とはだいぶ違った印象。

「FACE」展は年に一度、SOMPO美術館(旧 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)が開催している公募展。若手の育成・発掘も目的の一つで、優秀賞に選ばれた作品は美術館が買い取ることになってます。収蔵品で構成した今回の企画展にも過去の優秀作が何点か展示されています。どれも「ああ、観た、観た」、「この作家さんの名前、覚えている」と懐かしく思えるコーナーになっている。
なお、残念ながらパンデミックによって期間途中で開催中止になってしまった今年(2020年)の「FACE」展の様子はこの記事を見てください。

もちろん、東郷青児の作品も多数、展示されている。絵画とともに、旧東京火災が東郷青児にデザインを依頼したカレンダーや保険のパンフレットも展示されている。これは貴重!

美術館は五階建て。五階から三階までが展示フロアとなっている。上から見ていく形になっている。そして三階にはゴッホの「ひまわり」などが展示されている。これまでよりもかなり近距離で観られるようになっていた。細部を観ようとしたら以前は単眼鏡が必須だったが、その心配は無用。

以下の作品は本展に限り写真撮影可能となってます。以前はゴッホの「ひまわり」に並んで鎮座ましましていた作品たちじゃなかったかな。それが撮影可能とは大盤振る舞いですね。

  • ポール・ゴーギャン 「アリスカンの並木路、アルル」
  • ピエール=オーギュスト・ルノワール 「帽子の娘」
  • ピエール=オーギュスト・ルノワール 「浴女」
  • ポール・セザンヌ 「りんごとナプキン」

感想

だいぶ待たされてしまった新館お披露目だったが、なんとかオープンできてまずはめでたしめでたし。ただ、チケットは日時指定で事前に購入しなければならないし(招待券があれば飛び込みも可能。ただし、混雑次第で待たされるみたい)、入館時には手の消毒・検温、会場内ではマスク着用となっている。まあ、それが“ニュー・ノーマル”なので仕方ないのでしょう。

これまでにも収蔵品点はあったし、今回の展示でも見たことのある作品ももちろんあったが、(たぶん)初めましての作品も多かった。余り展示されることがないのか、私が単に観ていなかっただけなのかは分からないけど。

岸田劉生の作品が、上記の「虎ノ門風景」と「自画像」が展示されていた。「自画像」の方は、気難しそうな表情がなんとなくあの「麗子像」と繋がる気がしたが、「虎ノ門風景」の方は全く別のタッチ。若いうちは色々と模索していたんだなと感じられて面白かった。

改めて多くの作品をまとめて観た東郷青児。彼の作品で描かれている女性は、アニメキャラか、ちょっと昔の3Dゲームのキャラクターのように思えてきた。球や三角錐などのプリミティブな立体要素を組み合わせて作られたキャラクターだ。「レダ」や「薔薇一輪」など、松本零士の描くメーテルのようにも見えてきた。
そんな目で見ると、もう一度、再評価されてブレークなんてことが起きるかも知れない。美術館のリニューアルもあったことだし、再プッシュすると面白いことになるかも。
なんて妄想を抱きながら作品群を眺めていたのでした。

そう言う目で見ると、ボードレールの「悪の華」の挿絵として描かれたジョルジュ・ルオーの作品は、人物がどれもゾンビのよう。なんともおぞましい姿に見えてきた。あの、独特の眼の描き方のせいなのかな。ルオーらしくて面白かったけど、夜中に観たら不気味かも。

新しくなった美術館。二階は休憩スペースとミュージアムショップになっていました。これまでと違って、大きな窓があって開放感があり、観てきた作品たちを静かに振り返ってみるのにいい感じの場所。
カフェも併設予定だったようですが、営業は始まっていませんでした。お茶を飲むだけでも雰囲気は良さそうなので、ちょっと残念。
あと、本来は一階にロッカーがあるそうですが、こちらも今は使えない状態。消毒を頻繁にすることが出来ないからなのでしょうけど、ちと不便です。大きな荷物ならば受付で預かってくれるようですが、まあ今のご時世ではこの程度の不便さは受け入れるしかないですね。それよりも、ちゃんとオープンしてくれたことに感謝です。
開館記念第二弾の東郷青児展は中止(スキップ)になってしまったようですが、その後の企画展に期待です。

美術展情報

コメント

  1. 中野潤子 より:

    9月には東京に行けるようになっているでしょうか。今年はまだ1度も行っていません。ジジババは危ないから来るなと言われています。

    • bunjin より:

      ワクチンが出来るか、大半の人が自然感染するかして抗体を持つようにならないと、本質的な状況は変わらないのでしょうね。まあ、抗体を持ったからと言って、再度罹患しないかも分かっていないようですが。うむ、どうなることやらです。