★ あらすじ
グレースは長い眠りから目覚める。そこがどこだか分からない。初めは立つこともままならなかったが、徐々に歩けるようになり、辺りを探り廻る。そしてそこが宇宙船の中で、自分は宇宙のまっただ中にいることを理解する。コンピューターの手を借りながら徐々に記憶を取り戻すも、余りの孤独さに自暴自棄になってしまった。
だが、やがて自分に課された超特大の使命を思い出す。太陽と金星の間に見つかった光の帯(ペトロヴァ・ライン)に巣くう宇宙微生物「アストロファージ」によって太陽のエネルギーが食い尽くされようとしていたのだ。このままでは数十年で人類は全滅する。グレースはそのアストロファージの生態を研究する(いや、「ヘイル・メアリー」プロジェクトによって無理矢理研究させらた)科学者だったのだ。十一光年離れた恒星タウ・セチにもペトロヴァ・ラインが存在しているのに、なぜかその恒星はエネルギーを保っていることが分かり、その理由を探り、地球を救う手段を見つける恒星間探検が実行され、グレースはそのクルーとしてこの宇宙船に乗っていたのだ。
宇宙船がタウ・セチに到着したため、彼は冬眠状態から目覚めさせられたのだった。そして自分のミッションを思い出し、早速にタウ・セチのペドロヴァ・ライン観測を始めたところ、思いもかけないものを見つけてしまう。それは、彼の乗る宇宙船と並走している巨大な謎の宇宙船だった。もちろん、それは地球のものではない。すると、謎の宇宙船から何かがこちらに向かって飛んできた。グレースは船外活動をしてそれを何とか受け取る。なんと、そこには未知の相手からのメッセージが入っていたのだ。
グレースは地球外生命体とのファーストコンタクトを果たしたのだ。“彼”は岩のような材質で、五本脚(手?)を持ち、蜘蛛のように歩く異星人だった。彼は視覚を持たず、音によって世界を把握し、コミュニケーションを取る。それは地球人のグレースにとっても理解可能なものだった。そこから手振り身振りを交えてのコミュニケーションが始まり、グレースは段々と彼(ロッキーと名づけた)の言葉を理解していく。
二人(一人と一体?)は互いに同じ目的でここに来ていた。それぞれの星をアストロファージから救う手段を見つけに来たのだ。かくして、共同で探査・研究が始まる。果たして彼らはミッションをやり遂げることができるのだろうか。
★ キャスト&スタッフ
- 出演:Ryan Gosling, Sandra Hüller, James Ortiz, Milana Vayntrub, Ken Leung, Lionel Boyce, 他
- 監督:Phil Lord, Christopher Miller
- 脚本:Drew Goddard, Andy Weir
- 原作:Andy Weir
- 音楽:Daniel Pemberton
- 衣装:David Crossman, Glyn Dillon
★ 感想
原作者Andy Weirのデビュー作、二作目を読んで、その面白さに大ハマリ。科学的知識に裏打ちされた“納得感のある”ストーリーは、本当にそんなことがあっても不思議はないと思わせてくれた。火星でのサバイバル方法、月面コロニーの生活様式などなど。
それらの感想は別ブログに書いているので、良かったら合わせて読んでみてください。
そして第三作目であるこの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が映画になったということで、これは読んで、そして観なければならないと思い、原作を一気に読み、映画は公開初日に観に行ったのでした。
原作にある、あの科学的な理屈を説明する描写を映画ではどのように表現するのだろうかと思っていたが、さすがにそこはサラッと“かわして”、グレースがホワイトボードに数式を書いて答えを導くシーンとして表現していた。まあ、これもありかな。
その分、タウ・セチeでのサンプル採取や、その後のアストロファージ燃料タンク損傷によって制御不能になった宇宙船のシーンなどは映画ならではの大迫力。なかでも、小説では今ひとつイメージが湧きにくかったタウ・セチeの描写が恐ろしく、そして美しかった。濃密な大気が光り輝き、渦を巻くその景色はまさに別世界。地球とは異なった星ってこうなのかも知れないなぁと納得できるものだった。そして、宇宙船に事故が起こり、ものすごい速さでグルグル回り始めてしまうシーンは、そのスピード感、緊迫感によって、自分も目眩を起こしそうなくらい。
その一方で、ロッキーの描き方はもう少し丁寧にしても良かったかな、と。グレースがコミュニケーションを確立していくシーンはだいぶ端折っているので、急に異星人と会話が成り立っちゃっている感じになり、他のSF作品と同じ雰囲気(何の説明もなく、地球人と宇宙人が一緒に会話できちゃっている安易な設定)に見えてしまったのは残念。
アストロファージやタウメーバの探求、培養に関しては、確かに映像で描くには単調になってしまうだろうけど、これも本作(原作)に重み(真実味)を加える部分だったので、もう少し何かあっても良かったかな。
とは言え、小説と映画は違うもの。素直な気持ちで観るのが一番。公開初日と言うこともあって満席でしたが、ユーモラスなシーンでは笑い声も聞こえたし、上映後も笑顔の人が多い感じで満足したという雰囲気。
こうなると、読んでから観るか、観てから読むか、なかなかに悩ましい問題ですね。
そうそう、最後に大きなネタバレ。なんと、原作にはなかったシーンが映画にはありました。グレースがロッキーの宇宙船に招待され、船内を見て回るんですよ!あんな構造になっていたとは!!
原作ファンにとっては、それだけでもこの映画を観る価値があるかも?!
★ 公開情報
- 公開日:2026/3/20(Fri)
- 主な上映館:TOHOシネマズ六本木、新宿バルト9、109シネマズ二子玉川、他全国ロードショー
- 公式サイト:映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

★ 原作本、他
Audible版はこちら





コメント