「ざわつく日本美術」展 なるほど、こういう見方もある訳ね

サントリー美術館 ざわつく日本美術展 美術展・写真展

東京ミッドタウンにあるサントリー美術館で「」展を観てきました。
この企画展では写真撮影OKです。ただし、会場に掲載されている注意事項に従ってください。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

展示内容

見慣れている作品も、視点を変えるとまた別の魅力を発見できる。そんな想いで企画されたのでしょう、この企画展。公式サイトの説明によると

思わず「心がざわつく」ような展示方法や作品を通して、目や頭、心をほぐし、「作品を見たい!」という気持ちを高めていきます。サントリー美術館の名品から珍品、秘宝まで、作品を「見る」という行為を意識して愉しみながら、日本美術のエッセンスを気軽に味わっていただける展覧会です。

作品との出会いによって沸き起こる、自分自身の「心のざわめき」に耳を傾けると、日本美術の魅力にぐっと近づけるような、意外な発見があるかもしれません。

サントリー美術館 開館60周年記念展 ざわつく日本美術 サントリー美術館

とのこと。
展示構成は以下の通り。

  • 第1章: うらうらする
  • 第2章: ちょきちょきする
  • 第3章: じろじろする
  • 第4章: ばらばらする
  • 第5章: はこはこする
  • 第6章: ざわざわする

「うらうらする」とは、つまり“裏側を覗いてみよう”ということ。展示台に鏡を使い、裏側を見られるように展示されています。
重要文化財の「色絵五艘船文独楽形鉢」はなるほど、裏側もお見事。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

本阿弥光悦の赤樂茶碗「銘 熟柿」は、高台(底の輪っかの部分)を観てその銘に納得。確かにこれは熟した柿ですよ。胴の部分もまさに柿色・柿模様なのですが、底を観れば一目瞭然。“うらうら”しちゃいますね。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

屏風絵の裏側ってのも普段は見せない・観ないでしょう。「邸内遊楽図屛風」は宴会・どんちゃん騒ぎの真っ最中を描いた楽しそうな作品。賑やか・華やかです。そんな屏風絵の裏側は鳥襷文(とりだすきもん)という文様になっていました。表面に比べてとても落ち着いた、いや、地味な造りです。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

元は巻物だったり屏風絵だったりしたものの一部を切り取って掛け軸に仕立てる、なんてことはよく行われていた。そんな「ちょきちょきする」作品が集められている。面白いのは、元の姿をグレーの“影”で表現しているところ。ここから切り取られたのか、元はこんな形だったのかと想像しながら観ることができる。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

こちらは、元は布団だったもの。「富士鷹茄子松竹梅模様筒描蒲団地」ということで、正月の初湯で観ると縁起が良いとされる“一富士二鷹三茄子”が描かれている。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

じろじろする」コーナーでは、じろじろ・じっくり観ないと見落としてしまうものが描かれた作品たちが紹介されている。
「茶練緯地宝尽模様腰巻」では“宝尽文”と呼ばれる、如意宝珠、打出の小槌、法輪、宝剣などの宝物を集めた吉祥文様がびっしりと描かれている、単眼鏡必須の作品。見入ってしまいます。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

「ばらばらする」では、蓋と本体のように、一緒になっていて一つの作品であるものを、敢えてバラバラにして展示してある。蓋だけを観て本体がどうなっているか、またはその逆を想像してみようというもの。統一的なデザインのものもあれば、想像を裏切る奇抜な組み合わせのものもあり、なかなか難しいクイズだ。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

硯箱とその蓋。蓋は絢爛豪華なのに、箱の中はとてもシンプルなものがある。もちろん、その逆も。そして、蓋と本体のデザインを合わせて(順に)観ることで一つの物語が連想されるものもあって、優雅な遊び心に感心してしまう。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

「はこはこする」コーナーでは、本来の作品と、それを保管するための箱の展示。箱を観て中身を想像したり、その逆が楽しめる。
箱だけが展示されている光景はなかなかシュール。だが、確かに箱も立派で、中身を大切に守ろうという所有者の心が表れているようにも見えてくる。

サントリー美術館 ざわつく日本美術展

感想

同じ作品でも視点を変えれば何倍にも楽しめる、と言うことかな。「ざわつく日本美術」とは言い得て妙のタイトルを付けたものだと感心。
茶碗を観る時も、外側の胴の部分はよく観るけど、展示のされ方によっては中の部分でさえ良く見えないことが多い。ましてや底(高台)の部分は普段、観られることはないんじゃないかな。こうやって改めて観るとざわつくほどに面白い。

美術品を切って断片にしてしまうって、「オリジナルの形であるべき・保存すべき」という現代人の感覚には反しているんだけど、“Mashup”のような感覚なのだろうか。あくまでもその作品をリスペクトしていて、自分が最も良いという部分をピックアップする。それは新たな“作品”を生み出している事になるのかも知れない。着物の一部を掛け軸に仕立て直して観賞するなんて、SDGsにもマッチしているし、そんな意味でも共感できるものだろう。

美術品を収納する箱にこれだけ気合いを入れちゃっているのもすごい。これまた現代の“オタク”感覚と同じだろう。所有する喜びだったり、こっそり一人で箱からお宝を取り出して眺める時の優越感だったり、なんかそんな感覚なのだろうと思う。箱を作った(作らせた)人の顔が思い浮かぶ。

作品そのものと、ざわざわする部分と、両方を観ることになるので、意外と時間がかかりました。一点ずつ、「なるほどねぇ」と感心する時間もプラスされますし。余裕を持って観覧くださいませ。
展示替えもあるようなので、私ももう一度、観に行こうかな。

美術展情報

コメント

  1. 東雲 より:

    とっても面白そうな企画展ですね!
    どれも凄く興味があります。

    「はこはこする」のぶんじんさんの感想・・・

    >こっそり一人で箱からお宝を取り出して眺める時の優越感だったり、なんかそんな感覚なのだろう

    父が まさにそんな感じでした。
    大したお宝ではなかったとは思いますが(笑)
    実家には そのような箱が沢山あります(苦笑)

    • bunjin より:

      いやいや、中にはすごいお宝が眠っているかも知れませんよ!