「私はいったい、何と闘っているのか」

私はいったい、何と闘っているのか 映画・演劇

映画.comのオンライン試写会で観ました。

以下の内容は、いわゆる「ネタバレ」を含んでいます。

★ あらすじ

伊澤春男は地元のスーパー「ウメヤ」大原店の主任。勤続二十数年で、他店の店長にと言う話もあったが、店長に「春男はうちの司令塔だから」と頼られ、結局、同じ店で働き続けているのだ。

そんな春男も家に帰ると、しっかり者の奥さん律子と、小梅・香菜子の二人の娘、そしてやたらとませた台詞を吐く息子の亮太に囲まれて幸せな家庭の父親として日々を送っていた。
今日も、少年野球の試合に臨む亮太のために、流しそうめんの準備に余念のない春男。

だが、そんな時に「ウメヤ」の店長からすぐに来て欲しいと電話が入る。休みの日でもお構いなしだが、春男は急いで店に走る。
店では、誤発注をしてしまった大量のそうめんの箱が山積みとなっていて、店長も店員たちも途方に暮れている。春男は「やるしかないですよ」と急遽、そうめんの大安売りセールに取りかかるのだった。
無事に売り切ることができた春男。その功績から「次期店長には。。。」という声も聞こえてきた。

だが、彼の前には次から次と難題が押し寄せてくる。娘の小梅が恋人を家に呼び、”両親に挨拶”してもらうと言い出す。うろたえる春男。
店では、売上の数字が合わないことから万引きの可能性が高いとなり、警戒を強める。すると、店員の中で怪しい人物が。春男はその対応にも迫られることとなる。

さらにさらに、避けては通れない家族の問題が表面化。問題を乗り越えたと思ったら、さらに悪いことがおき、いつも舞い上がってばかりの春男。逃げ出すことのできない状況に追い込まれた彼の運命はどうなっていくのか。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演:安田顕、小池栄子、岡田結実、ファーストサマーウイカ、SWAY、金子大地、菊池日菜子、小山春朋、田村健太郎、伊藤ふみお、伊集院光、白川和子
  • 監督:李闘士男
  • 脚本:坪田文
  • 原作:つぶやきシロー
  • 主題歌:ウルトラ寿司ふぁいやー

★ 感想

いつもは脇役の「TEAM NACS」の安田顕が主役。しかも、原作はあのつぶやきシロー。なんともクセの強い映画だった。とにかく、二時間の作品中、ほとんど安田顕の“心の声”、つまりはつぶやきが続いているのだ。いや、それだけでも凄い作品。中年男のつぶやきは、愚痴・人の悪口・後悔・のぼせ上がりと、延々とブツブツ続いている。コメディとして話が誇張されているのだが、それでいてそのつぶやきのためか、なぜかリアルなのだ。ここまで酷くなくても、似たようなことはあったなぁと、何となく共感してしまい、話に引きずり込まれていく。つぶやきムービー、恐るべし。

主任としてはしっかりと仕事をしている主人公。数々の危機にも、うまく店員たちを取りまとめて対処している。でも、なぜか店長昇進にはむずび付かない。いわゆる「いい人」になっちゃっている訳だ。
人生うまく行かないなぁ、とは誰しも一度は思うもの。頑張ったからといって結果に結びつくとは限らない。良かれと思ったことが裏目に出ることだってある。そう、もう「あるある」を地でいっている主人公には無条件で共感してしまう。

主役の安田顕はもちろんいいのだが、奥さん役の小池栄子がいい。最初は明るくしっかり者のお母さんという感じなのだが、実は過去にかなり色々あったということが分かるにつれて、それが“過去を振り切って今を生きることにしたんだ”という感じに見えてくるのだ。辛い過去があっても、うまく行かないことがあっても、家族がみんな仲良く暮らしていけることが幸福なのだ、と言う、ある意味悟りの境地に達した感があるのだ。なんとも複雑な役どころなのだが、納得感があった。

笑って、泣かせて、最後はほっこりさせてくれる、寅さんのような作品だった。暮れに封切りだし、正月映画としてピッタリ。
ホントか嘘か、原作者のつぶやきシローは試写会の舞台挨拶に呼ばれなかったとぼやいていたけど、映画が面白かったのは間違いなし。さて、原作はどんな雰囲気なのでしょう。読みたくなりました。

★ 公開情報

★ 原作本、他

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