東京都美術館 「岡本太郎」展 はものすごい迫力で圧倒されそう

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東京都美術館 「岡本太郎」展 美術展・写真展
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東京都美術館で「展覧会 岡本太郎」を観てきました。

この企画展では一部作品を除いて写真撮影OKです。撮影NGとなっている作品を確認しつつ、注意して撮影してください。
また、三脚・フラッシュNGなどの注意事項にも従ってください。

展示内容

公式サイトの説明によると

絵画、立体、パブリックアートから生活用品まで、強烈なインパクトのある作品を次々と生み出し、日本万国博覧会(大阪万博)の核となる「太陽の塔」をプロデュースし、晩年は「芸術は爆発だ!」の流行語とともにお茶の間の人気者にもなった岡本太郎。
(中略)
本展は、常に未知なるものに向かって果敢に挑み続けた岡本太郎の人生の全貌を紹介する、過去最大規模の回顧展です。

展覧会 岡本太郎|東京都美術館

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • 第1章:“岡本太郎”誕生 —パリ時代—
  • 第2章:創造の孤独 —日本の文化を挑発する—
  • 第3章:人間の根源 —呪力の魅惑—
  • 第4章:大衆の中の芸術
  • 第5章:ふたつの太陽 —《太陽の塔》と《明日の神話》—
  • 第6章:黒い眼の深淵 —つき抜けた孤独—

東京美術学校(芸大の前身)に進むも、両親のパリ行きに同行し外国暮らしを始める。さらに両親はすぐにロンドンへと移るのだが、岡本太郎は単身、パリに残って芸術活動を十年間続けたのだそうだ。昭和の初め、戦前の話だ。ピカソに影響を受け、モンドリアンやカンディンスキーの属する芸術協会のメンバーになり、さらにはジョルジュ・バタイユなどの思想家とも交流があったとのこと。
若き時代に凄い刺激を受けただろう事は想像に難くない。しかも、岡本太郎はそれらに飲み込まれ、流されていくだけではなかった。抽象絵画、シュールリアリズムの枠に収まることをせず、この「傷ましき腕」を描いたあとに新たな道へ進み始める。

東京都美術館 「岡本太郎」展
東京都美術館 「岡本太郎」展

ナチスのパリ侵攻の前に帰国する。その後、招集され、厳しい兵役生活を送ったそうだ。
戦後、自分が日本芸術を変える、と宣言し、抽象と具象の合いまった独自の作品を作り出していく。異質なものを画面に混在させた「対極主義」と称し、前衛的表現を確立していった。

東京都美術館 「岡本太郎」展

一方で、日本の文化にも興味を持ち、縄文土器や各地の祭祀に惹かれていく。流石なのは、単にそれらを見るだけではなく、韓国やメキシコにも脚を伸ばし、各地の民俗芸術を取材し、それらの中で日本文化を見ていたのだ。

東京都美術館 「岡本太郎」展

そんな岡本太郎が創り出した「縄文人」は時間だけではなく、空間も飛び越えた異世界の存在のようだ。

東京都美術館 「岡本太郎」展

「芸術は大衆のものだ。芸術は自由だ。」が岡本太郎の信条だった。日常品にも岡本太郎は芸術を入れ込む。ウィスキーのオマケのグラスや、アロハシャツ、キャップなどなど。

東京都美術館 「岡本太郎」展

B級(?)SF作品のキャラクターデザインまでしていた。

東京都美術館 「岡本太郎」展

中にはやり過ぎて(?)、「坐ることを拒否する椅子」なんてものも作ってしまったが。

東京都美術館 「岡本太郎」展

作品の製作依頼がどんどん舞い込むようになる。その最たるものが大阪万博の「太陽の塔」だろう。丹下健三が大屋根の広場をデザインすると、岡本太郎はその屋根をぶち破る塔を創り上げてしまったのだ。その過程に対しては様々な逸話が語られていて、もはや伝説と化している。

東京都美術館 「岡本太郎」展

「太陽の塔」の内部に作られていた「生命の樹」。消防法やら耐震性の問題で、万博閉会後は長らく“忘れられた存在”になってきたが、規模は縮小されたものの、近年再公開された。

東京都美術館 「岡本太郎」展

もう一つの大作が、メキシコのホテルの壁を飾るはずだった「明日の神話」。紆余曲折貼って、今は渋谷駅の壁を飾っている。

東京都美術館 「岡本太郎」展

日本の芸術を変えていく、と孤軍奮闘していた岡本太郎だが、いつしか自分自身が巨匠と呼ばれ、大家と言われる存在になっていた。晩年の岡本太郎はそんな自分自身をどう思っていたのだろうか。
穏やかそうな顔だが、そろそろ仮面を脱ぎ捨て、自分の顔を取り戻したいと思っているようにも見える。

東京都美術館 「岡本太郎」展

感想

岡本太郎ほど、知名度の高い芸術家はいないのではないだろうか。そして、彼の作品もパブリックアートとして街のあちこちで今も観ることができる。その最たるものが大阪の「太陽の塔」だろう。東京でもこどもの城跡地前や、銀座の数寄屋橋公園、そして京王井の頭線 渋谷駅などでお目にかかれる。

岡本太郎

その来歴は知っていたが、今回の企画展でメキシコから日本に運ばれ、修復される様子をビデオで見た。岡本太郎の人生も波瀾万丈だが、彼の作品もまさに一本のドラマになりそう。今、こうやって駅を通るたびに観られるのだからありがたいものです。

岡本太郎

展示された作品はどれも迫力があった。原色の刺激もそうだし、なんとも形容しがたい形も然り。観終わったあとには疲労感さえあったほど。
「芸術は爆発だ」、「対極主義」と、その創作にかけるパッションはものすごいものがあったのだろう。でも、それでいて岡本太郎の存在はその知名度の高さもさることながら、いわゆる“一般大衆”に広く受け入れられている。「訳の分からない前衛芸術」とは思われていない。それは作品をパブリックアートとしてまさに大衆の中に溶け込んだものが多いからだろう。さらに、自らメディアに登場し、企業と数々のコラボ作品を作っているからだ。我が家にも「グラスの底に顔があったっていいじゃないか」のグラスがあったのを覚えている。

そんな岡本太郎の作品は、なんか変だけどとても愛らしいものが多い。これまで、それをどのように表現して良いか適切な言葉がなかったのだろう。そして、今の時代になってやっとぴったりな言葉が出てきた。

ぶんじん
ぶんじん

岡本太郎の作品は「カワイイ」。

時代がやっと追いついた、と言うことなのだろう。

本棚がもう一杯で置き場所に困るのだけれど、久しぶりに図録も買ってしまった。日々の生活にもお馴染みの存在となっていた、まさに同時代の芸術家に惹かれてしまったからだろう。面白かった。

美術展情報

  • 会期 : 2022/10/18(Tue) – 12/28(Wed)
  • 開館時間 : 09:30 – 17:30 金曜日は20:00まで
  • 休館日 : 月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
  • 料金 : 一般 1,900円、 大学生 1,300円、 高校生以下 無料
    ただし、無料の場合も含め、日時指定予約制
  • 公式サイト : 展覧会 岡本太郎
  • 巡回先
    • 大阪:2022/7/23(Sat) – 10/2(Sun)
    • 愛知:2023/1/14(Sat) – 3/14(Tue)
  • 図録 : 2,800円(税込)
  • 参考書

コメント

  1. 中野 潤子 より:

    こっちも行きたかったのですが。欲張れませんでした。

    • bunjin より:

      私は国立博物館の国宝展にいけなかった分、こちらをチョイスしたのでした。