「やまと絵 受け継がれる王朝の美」展 国宝・重文のオンパレード

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やまと絵 受け継がれる王朝の美 美術展・写真展
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東京国立博物館特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」を観てきました。

展示内容

公式サイトの説明によると

本展は千年を超す歳月のなか、王朝美の精華を受け継ぎながらも、常に革新的であり続けてきたやまと絵を、特に平安時代から室町時代の優品を精選し、ご紹介するものです。これら「日本美術の教科書」と呼ぶに相応しい豪華な作品の数々により、やまと絵の壮大、かつ華麗な歴史を総覧し、振り返ります。

東京国立博物館 – 展示・催し物 総合文化展一覧 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • 序章 伝統と革新―やまと絵の変遷―
  • 1章 やまと絵の成立―平安時代―
  • 2章 やまと絵の新様―鎌倉時代―
  • 3章 やまと絵の成熟―南北朝・室町時代―
  • 4章 宮廷絵所の系譜
  • 終章 やまと絵と四季―受け継がれる王朝の美―

平安時代から鎌倉時代にかけて、中国から伝わった技法や主題による絵画を唐絵(からえ)と呼んでいた。それに対して、日本の風景や人物を描いたものが「やまと絵」と呼ばれていた。のちに、水墨画などが漢画(かんが)と呼ばれるようになり、三者が互いに刺激し合いながら発展を遂げていく。

序章では、そんな唐絵、漢画とやまと絵の屏風絵を見比べていく。やまと絵も、平安時代から、鎌倉、室町時代へかけて変化・発展していっているのが見て取れる。

平安時代には、紙そのものが貴重品であった。彩色されたものや、模様が漉き込まれた紙が中国から輸入されていた。そんな貴重な紙に、貴族たちの優雅な暮らしを描いたやまと絵が描かれていったのだ。
「源氏物語絵巻」や「信木山縁起絵巻」、「伴大納言絵巻」、「鳥獣戯画」などが今に伝わっている。

それは武士の時代の幕開けと言われる鎌倉時代に入っても変わらない。やまと絵を担っていたのは宮廷貴族たちだった。だが、その描写は写実的になり、人物像もある程度は本人の姿を描いた“似絵(にせえ)”が生まれてくる。また、主題としても「平治物語絵巻」のような合戦の様子を描いたものが出てくる。

室町時代になると、水墨画に対抗するかのように、多彩で金銀を多用した作品がやまと絵に増えていく。

そんなやまと絵を描いてきたのは主に宮廷絵所絵師だ。平安末期に後白河天皇に仕えた常磐光長や、鎌倉時代の高階隆兼、室町時代の土佐光信などの名前が残っている。
しかし、土佐光信の後継者であった息子の土佐光元が織田軍に従軍して戦死してしまい、土佐家は途絶えてしまった。同時に、やまと絵の系譜も節目を迎えることとなった。

感想

さすがは東京国立博物館の特別展だけあって、展示されている作品の多くが国宝や重要文化財。特に、四大絵巻と言われる「源氏物語絵巻」、「信木山縁起絵巻」、「伴大納言絵巻」、「鳥獣戯画」が並んで展示されているのは圧巻。どれもが国宝ですから。その他にも、神護寺三像(「伝源頼朝像」、「伝平重盛像」、「伝藤原光能像」)も国宝、三大装飾経(久能寺経、平家納経、慈光寺経)も国宝です。
「源氏物語絵巻」は雅だし、「平家納経」は豪華そのもの。どれも、歴史や美術の教科書でお馴染みのものばかり。これらを観られるだけでも行く価値はあるでしょう。

どの展示品も圧倒的で、混んでいたこともあるけど、じっくり観て回ったので二時間以上かかってしまいました。どれもこれも見どころたっぷりの作品ばかり。絵巻物の細かい描写を観るには単眼鏡は必須でした。
ただ、一つ一つはとても素晴らしい作品ばかりなのですが、観終わって「結局、やまと絵とはなんだったのだろうか」という点については、正直に言うとよくわからなくなってしまいました。「源氏物語絵巻」や「伝平重盛像」が唐絵・漢画と違っているなと言うのは理解できるのですが、室町の頃の作品になってくると主題の花鳥風月がだいぶ中国風のものもあり、かなり難しくなってきます。背景が金ぴかだとか、ものの配置が平面的だとかの説明がありますが、うむ、分かりにくい。結果、ちょっと落ちこぼれてしまいました。

まあ、とは言え難しい定義はさておき、王朝絵巻にしろ、軍記物の絵巻にしろ、色使いが美しく、観ていて飽きない。そして、背景として描かれている草花や木々が、時には図案化され、文様のように使われていても、その曲線のしなやかさ、色の鮮やかさは日本の四季を強く意識させてくれる。そこはなるほど“やまと”を描いた絵なのだなと思いました。
その意味で、私のお気に入りの一枚は室町時代の作とされる「四季草花小禽図屛風」かな。四季の草花を描いていてとても美しかった。のちの狩野派でもよく取り上げられたテーマなので、馴染みがあったからかも知れません。

じっくり観て回り、脚が痛くなってしまいましたが、楽しめました。時間に余裕を持って、お出かけください。おすすめの企画展です。

美術展情報

コメント

  1. 中野 潤子 より:

    やあ見たいですね。12月上旬ですか。10月に上京したばかりなんですよね。孫の誕生日が11月ですから行く理由には困らないのですが。相棒の日程がね。私一人でも行きたいところです。でれも1部分しか見ていませんからね。流石特別展、羨ましいです。紹介していただいただけでも感激です。

    • bunjin より:

      機会があれば是非。これだけまとめて観られる機会はなかなかないでしょうし。