東京都写真美術館 「プリピクテ STORM/嵐」展

スポンサーリンク
東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展 美術展・写真展
記事内にアフィリエイト広告が含まれています。

恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館で「プリピクテ STORM/嵐」展を観てきました。

この企画展では写真撮影OKです。ただし、三脚・フラッシュNGなどの注意事項には従ってください。

展示内容

公式サイトによると、

Prix Pictet(以下プリピクテ)は、写真と持続可能性(サステナビリティ)に関する世界有数の賞です。2008年にピクテ・グループによって創設され、写真の力をつうじてサステナビリティという重要な問題に人々の関心を集めることを目的としています。
(中略)
最終選考に残った作家の作品にはどれも、伝えなければならないナラティブ(ストーリー)があります。その多くは、差し迫った悲劇を予感させる痛烈なものですが、なかには未来への希望を感じさせるものもあります。それらは地球の守り手としての私たちの役割を問い直し、2008年の創設以来プリピクテが主に掲げてきた「地球規模の持続可能性—グローバル・サステナビリティ—」という重要な問題に光を当てています。

とのこと。

展示は最終選考に残った以下の十二名の写真家の作品が展示されています。

  • 新井卓(日本/ドイツ)、マリーナ・カネーヴェ(イタリア)、トム・フェヒト(ドイツ/イタリア)、バラージュ・ガールディ(ハンガリー/アメリカ)、ロベルト・ワルカヤ(ペルー)、アルフレド・ジャー(チリ/アメリカ)、ベラル・ハレド(パレスチナ)、ハンナ・モディグ(スウェーデン)、ボードワン・ムワンダ(コンゴ・ブラザビル)、カミール・シーマン(デンマーク/アメリカ)、レティシア・ヴァンソン(フランス)、パトリツィア・ゼラノ(イタリア)

マリーナ・カネーヴェの作品は、災害現場の写真と、それを予見していたかのような風景や資料の写真を並べている。もちろん、予言・予知という訳ではなく、後付けではあるけれど、これから起こるかもしれない災害を“忘れるな”というメッセージなのでしょう。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

ロベルト・ワルカヤの作品は、何が写っているのか見ただけでは全く分からない。説明によると、写っているのはアマゾンのある川の川床に横たわっている大木だそうだ。しかも、感光紙を木の下に敷いた時に雷が鳴って、それで感光された。アマゾンにおける森林伐採の問題提起を意図したのだろうが、自然の力(雷光)がそこに何かのメッセージを残したかのような作品になっている。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

アルフレド・ジャーの作品もテーマがパッと見ただけでは分からない。これらはユタ州のグレートソルト湖の現在を写したものだそうだ。この湖は(気候変動のために?)どんどんと水がなくなり、干上がりつつあるそうで、有害な塵が舞い、塩分濃度が上がり続けている。“明日の地球の姿”をここに見ているのだろう。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

ボードワン・ムワンダはコンゴで起きた洪水の被害を伝えたもの。ただ、災害現場をそのまま写したものではない。普段の生活をしている人々が膝まで水に浸かっているという、何とも不思議な光景だ。日常と非常との混ざったこの風景が洪水による災害を強く印象づけている。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

カミール・シーマンの作品を観た時、最初に思ったのは「ダイナミックで“きれい”な景色だなぁ」というもの。だが、そんな悠長な話ではなかった。これらは巨大竜巻を引き起こす「スーパーセル」と呼ばれる雲の塊なのだそうだ。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

パトリツィア・ゼラノはヴェネツィアの“水害”をテーマにしている。高潮に襲われ浸水・水没するヴェネツィアのニュースはしばしば聞くようになったが、ここで被写体になっているのは書籍。しかも水没してしまって損傷した本たちだ。異常気象は文化も破壊するものだという強いメッセージが伝わってくる。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

バラージュ・ガールディの作品は、2021年にアメリカで起きた米国議会議事堂占拠の様子を撮ったもの。どんな国家もディストピアへと容易に転落してしまうことを伝えている。
トランプ大統領率いる今の米国の状況を見れば、そのメッセージはさらに大きな規模で現実化してしまっている。。。

東京都写真美術館「PRIX PICTET STORM」展

感想

ピクテ・グループのことはこの企画展で初めて知りました。いやぁ、メッセージ性が強いですね。主義主張がハッキリしている作品ばかり。「世界報道写真展」を毎年観に行っていますが、こちらはさらにストレートな感じ。見入ってしまうだけではなく、うーんと唸ってしまうようなものばかり。観終わって少々疲れてしまいました。が、多少疲れても考えねばならない問題ばかりなのは確か。これは観るべき企画展であることは間違いないでしょう。

ボードワン・ムワンダ氏の洪水被害を伝える作品群は、なるほどこういうやり方もあるのかと、メッセージ内容とともにその手法にも感心しました。災害は日常を奪うということが非常に良くわかる表現になっています。

「現在は情報過多」と言われて久しいですが、そこでどのようにメッセージを伝えるのかは大きな問題。報道写真とはまた違った形でのこのような表現方法は、写真が今でも新たな可能性を持っている手段なんだということを再認識しました。いや、面白かった。

写真展情報

コメント