この企画展では一部作品に限って写真撮影OKです。対象作品を確認して撮影してください。
また、三脚・フラッシュNGなどの注意事項にも従ってください。
展示内容
公式サイトの説明によると
本展では、暁斎コレクションとしては世界でトップクラスの質と量を誇る、イギリス在住のイスラエル・ゴールドマン氏の所蔵作品より、コレクションを代表する名品や、日本初出品の貴重な肉筆画、第一級の摺と保存状態の版画など約110件を展示します。
出品作の半数以上が日本初出品となる、世界最高峰の暁斎コレクションを通して、暁斎の多彩な世界をお楽しみください。
とのこと。
展示構成は以下の通り。
- 第1章 ゴールドマン・コレクションのスターたち
- 第2章 けもの
- 第3章 ひと
- 第4章 おに
- 第5章 かみ・ほとけ
- 第6章 版画の名品
河鍋暁斎(1831–1889)は 茨城県古河に生まれ、幼い頃から絵の才能を示し、歌川国芳に学んだのち、狩野派のもとで本格的な修業を積みました。伝統的な筆法をしっかり身につけながらも独自の発想を加えていき、魅力的な作品を生み出したのです。
暁斎の作品世界は実に自由奔放で、神仏や歴史人物のような正統的な画題を描く一方で、妖怪、骸骨、動物、鳥魚虫、さらには世相を映した戯画や風刺画まで、あらゆる題材を鮮やかに描き分けました。
また、暁斎は筆の速さでも知られていて、書画会(江戸後期から明治にかけて流行した、書家や絵師が客の前で書画を揮毫し、ときにその場で販売も行う催し)では一日に二百枚もの絵を描いたそう。
一方で、暁斎は酒好きで、ある書画会で飲み過ぎ、酔った勢いで新政府の役人を風刺する滑稽画を描き、捕縛されてしまいます。その結果、入牢3か月、鞭打ち50回という刑を受けてしまいました。その後、「狂斎」としていたペンネームを「暁斎」に変えた、という逸話も残っています。
そんな暁斎のコレクターであるイスラエル・ゴールドマン氏は展覧会や出版を通じて世界に対して河鍋暁斎を紹介してくれています。この企画展もその一環なのでしょう。
鹿鳴館やニコライ堂建築で知られるジョサイア・コンドルは河鍋暁斎に師事して日本画を学ぶとともに、暁斎の作品もコレクションしていました。その一枚がこちら。猫(山猫?)が蛙を狙っているシーンを描いていて、静謐な中にも秘めた躍動感が感じられ、緊張感も漂います。

捕らえたナマズを食べたあとでしょうか、ナマズは頭だけになっています。満足そうな猫は食後の昼寝をしているのかも。当時、ナマズはそのひげ面が明治新政府の役人を連想させるということで、役人を揶揄するときによく用いられたアイコンだったとか。こんな作品が続いたのでついには御用になってしまったのでしょうね。

河鍋暁斎の師である歌川国芳は猫好きとして有名。弟子である暁斎もその影響を受けたのか、猫を描いた作品が多数。

猫好きが興じたのか、妖怪となった猫である「猫又(年老いた猫が変じた妖怪で、尻尾が二つに分かれる)」も描いています。猫又が三日月の下、燈籠の上で踊る姿と、踊り疲れたのか手拭いを脱ぎ捨てて眠る様子の二枚組。
妖怪と言えば「百鬼夜行」をテーマにした作品も一杯。「百鬼夜行図屛風」は、妖怪たちが夜の闇をにぎやかに練り歩き、暁斎ならではの奔放なイマジネーションと確かな画力で描いた作品です。百鬼夜行というと不気味で恐ろしい妖怪行列を思い浮かべますが、暁斎にかかると、鬼や異形のものたちはどこか愛嬌を帯び、生き生きとした表情や動きを見せます。
百鬼夜行に“参加”している妖怪は、年老いた動物だったり、古くなった道具(付喪神)だったりするので、暁斎がそんな妖怪たちを愛したのは分かる気がします。
「地獄太夫と一休」は、伝説の遊女・地獄太夫と一休宗純、さらに骸骨のモチーフを組み合わせた、暁斎らしい怪奇と哲学が同居する作品で、生と死、悟りと欲望といったものがテーマになっています。骸骨の奏でる音楽に踊り廻る一休。結果(?)、悟りを開くことができたのは僧侶の一休ではなく、遊女の地獄太夫というもの。僧侶でありながら今を謳歌する一休と、来世を願う地獄太夫の対比が面白い。
感想
河鍋暁斎を初めて(まとめて)観たのは2017に当時のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれた「これぞ暁斎!」展。その時の様子は以前のブログに残っています。
その時に既に、“暁斎ワールド”に引き込まれてしまっていましたが、今回もまたまた楽しむことができました。描いているテーマが多彩であると共に、肉筆画・版画・版本・下絵・絵日記と様々な手法で描いているのも面白い。下絵、つまりはデッサンですが、さらっと描いた割りには対象の特徴をきっちりと捉え、しかも躍動感まである。書画会で大活躍するはずです。
ミュージアムショップでは、暁斎の絵に登場した猫や妖怪たちをモチーフにしたグッズが多数販売されていましたが、鳥獣戯画に通じるその愛らしさはもっと流行っても良さそう。
美術展情報
- 会期 : 2026/4/22(Wed) – 6/21(Sun)
- 開館時間 : 10:00 – 18:00
- 休館日 : 火曜日
- 料金 : 一般 1,800円 、 大学生 1,200円、高校生 1,000円、 中学生以下 無料
- 公式サイト : ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界 サントリー美術館
- 巡回先 : 神戸市立博物館(2026/7/11 – 9/23)、静岡県立美術館(2026/10/10 – 12/6)
- 図録 : 3,000円(税込)
- 音声ガイド : 700円 音声ガイドナビゲーターは声優・関智一
- 参考書









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