智美術館「第8回菊池ビエンナーレ」展 内覧会 で現代陶芸の造形美を知る

美術展・写真展

菊池寛実記念 智美術館 で開催中の「第8回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の<今>」展 内覧会に参加してきました。以下、学芸員さんの説明を交え、ご紹介。

例によって特別な許可をいただいて写真撮影しています。通常は撮影禁止ですので、ご注意願います。

展示内容

菊池寛実記念 智美術館は現代工芸専門の美術館。そして、二年に一度開催しているのが「菊池ビエンナーレ」展です。現代工芸作品の公募展で、八回目となる今回は276点の応募があり、そこから54点が入選、さらに5点が入賞作品として選ばれました。この企画展では、入選作54点が展示されています。

展示順序は作品リスト順でもなく、入選順でもありません。池寛実記念 智美術館の展示スペースは非常にユニークで、固定されたもの。そのため、各スペースに合わせて作品を配置しているのです。

そんな展示スペースは地階にあって、名物の螺旋階段(これ自体が工芸品です)を降りると、目の前にお出向かえしてくれるのが、大賞作品。中村清吾作「白磁鉢」です。祖父、母が陶芸家で窯元。今も母親と一緒に製作を続けているとのこと。この作品は昆虫(甲虫)をイメージしたもので、自身のお子さんとの虫取りの記憶からインスピレーションを得た物。

大石早矢香作「秘めリンゴ」。セルフポートレートとのこと。耳やら手やらがくっついていて、非常に複雑な構成。色もカラフルで、どうやって製作したのか(これ、陶器ですから)不思議に思える作品。

奨励賞 伊藤公洋作「志野彩文盤」。側面はタタラと呼ばれるものを貼り付けているが、釉薬や土の違いなどで色が多彩になっていて、いわゆる志野焼とは一線を画している。

寺澤里美作「練上花紋組鉢」。練り上げとは、金太郎飴の要領で材質(色)の異なった土を練り上げて作った筒状の物を輪切りにし、このように鉢などの形にしていく技法。土の材質の違いは、焼いた時の収縮率の違いとなり、境界面が剥離したり、ひびが入る原因となる。詰まりは焼き上げるのがとても難しい技法。

青木岳文作「Cylinder」。この細かい網目のような部分ももちろん陶器だ。前回も入選しているが、その時よりも“多層化”している。「「第7回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉」 これ、どうやって作っているんだろう?!:ぶんじんのおはなし:So-netブログ」を参照のこと。学芸員さんも、「次回はもっと上に伸びるのだろうか?!」と期待している模様。

川瀬理央作「刻」。こちらも細かい。触るだけでポキッと折れてしまいそう。樹木のような、海藻のような、珊瑚のような作品は、影すらも美しい。

波部圭亮作「平成器」。平成の時代に最も使われた・消費された“器”はペットボトルだろう。消費され、すぐに再生もしくは捨てられてしまう存在だ。そんなペットボトルを陶器の器と同じように使い続けたら、どんな風に古びていくのだろうか。そんなコンセプトを形に表した作品だ。

安永頼山作「唐津茶盌」。陶芸と言えば茶碗が最もポピュラーだが、入選したのはこの一点のみ。そもそも、応募も少ないのだとか。現代工芸展と言うことで、作家さん達も忖度しているのかも。。。だが、敢えて王道のカテゴリーで挑んで入選した本作はさすがだ。

感想

ここ何回か、連続して観に行っている企画展。まいど、「これ、どうやって作ったの?」という作品が並んでます。粘土で形にするだけでも大変そうなのに、それを焼成しても割れたり、ひび割れたりしていないのが不思議。もちろん、失敗もたくさんあったんでしょうけど、それにしても凄い。 青木岳文作「Cylinder」 なんて、自重で潰れちゃいそうなのに、どうやって作っている間、支えていたんでしょうね。不思議だなぁ。

陶芸って、どう考えても“形を作る”ということに対してはハンディキャップが多い手法だと思うんですよ。粘土の状態ではフニャフニャだし、焼いたら割れちゃうこともしばしばだろうし、造型美を求めるならばもっと楽な方法法があるだろうに。でも、そこを敢えて陶芸という手法で行うところに面白みがあるんでしょうね。現代陶芸家は“M気質”の人が多いのでしょうか?!

陶芸というと、XXX焼きがどうのこうのと蘊蓄を語る老人の趣味と思われがちですが、それはそれではまれば面白いだろうけど、現代陶芸はもっと素直に楽しめる物ばかり。不思議な形や色を見ているだけで飽きませんね。今回も楽しめました。

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