「ミロ展 日本を夢みて」 ほんと、日本好きだったんですね、ミロさん

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ミロ展 美術展・写真展
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ザ・ミュージアム | Bunkamuraで開催中の「ミロ展―日本を夢みて」の内覧会に参加してきました。

例によって特別な許可をいただいて写真撮影しています。通常は撮影禁止ですので、ご注意願います。

展示内容

公式サイトの説明によると

スペインのバルセロナで生まれた大芸術家、ジュアン・ミロ(1893-1983)。ピカソと並ぶ現代スペインの巨匠として日本でも広くその名は知られていますが、ミロの創作活動の裏側には日本文化への深い造詣があったことは意外なほど知られていません。

本展では、若き日の日本への憧れを象徴する初期作品から代表作、そして日本で初めて展示されたミロ作品を通し、相思相愛であったこの画家と日本の関係に迫ります。

国内では20年ぶり、待望の大規模ミロ回顧展

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • Ⅰ 日本好きのミロ
  • Ⅱ 画家ミロの歩み
  • Ⅲ 描くこと書くこと
  • Ⅳ 日本を夢みて
  • Ⅴ 二度の来日
  • Ⅵ ミロの中の日本
  • ミロのアトリエから

バルセロナ生まれのミロは、若い頃から日本文化に興味を持ち、研究し、さらには絵画だけではなく、書画や民芸品なども収集するほどのめり込んでいたとのこと。そのためか、地元ではまだそれほど名前が知られていなかった1930年頃から日本ではミロの作品が紹介され始め、世界に先駆けてミロ人気が高まっていったのだとか。

こちらは1917年に描かれた自画像。バックには浮世絵が飾られています。浮世絵としては“普及品”レベルのもののようですが、とにかくこの頃にはもう、日本の美術品をコレクションするほどになっていたと言うことです。そう思うと、来ている服も、日本の着物にありそうな柄ですね。

ミロ展

静物画も浮世絵の影響を受けたような構成が見られます。蝶々と草花のモチーフは分かり易い“日本風”でしょう。エミール・ガレのガラス器のよう。

ミロ展

私たちに馴染みの深い“これぞミロの絵”というのはこんな感じの作品でしょうか。シュルレアリズムの影響を受けた、それでいてもっと軽やかな感じのする、極端にデフォルメされた花鳥風月が特徴でしょうか。

ミロ展

ミロは文字・書にも強く惹かれて、書道全集なども持っていたそうです。その表れでしょうか、絵とも文字とも判別の付かない作品を多く制作しています。「絵画と文字の融合」を目指した作品は、感じに慣れ親しんだ日本人には確かに“漢字の書体の一つ”に見えて来ちゃいます。

ミロ展

「カタツムリ、女、花、星」と題されたこの作品では、文字(言葉)そのものを書き込んでいます。流れるような書体で書かれた文字は、そのまま女性や花と結びつき、不思議な世界を

ミロ展

日本好きが高じたミロさん、日本の絵画にインスパイアされた作品も描いています。大名行列に見立てた女性の行列を描いた作品をベースに、女性の行列を描いています。

ミロ展

創作は絵画だけに留まらず、工芸作品も作っちゃってます。かなり大きい壺。手捻りですかね、手法は。かなり粗めですが。

ミロ展

デフォルメは陶芸でも。タイトルは「女」となっているので、女性を表しているとは思うのですが、うーむ、こうなると日本の影響云々ではなく、何を象徴的に形にしたのかを知るのが難しい。

ミロ展

これくらいならばまだ分かり易いのですが。

ミロ展

これらはミロさんのコレクションとのこと。赤べこに馬楝など、なかなかマニアックなものが多いですね。民芸品をかなり収集していたようで、そこからインスパイアされて自分の作品に活かしていたようです。

ミロ展

ミロさんのアトリエはこんな感じだったんですかね。

ミロ展

“絵巻物”風の作品も一杯。でも、流石にそこは真似しなかったのか、知らなかったのか、左から右の順に描かれています。日本の絵巻物とは逆ですね。そこはご愛敬かな。

ミロ展

不思議なブロンズ像。「鳥」らしいのですが、はて。

ミロ展

左のは「母性」とタイトルが。性器を強調した土偶にインスパイアされたのでしょうか、極端なデフォルメですが、何となくそうなのかなと思えます。

ミロ展

感想

ジョアン・ミロというと、フニャフニャした抽象画(?)の人、というイメージが強かったんですが、こんなにも日本に傾注し、影響を受けていたとは知りませんでした。浮世絵に影響を受けた画家は多いですが、民芸品や書道にまで手を伸ばし、採り入れていたとは流石です。

賛が書かれた掛け軸の絵に慣れ親しんでいるせいか、絵に文字が書かれていることに違和感がない。でも、西洋画にはあまり見かけませんね。でも、日本通のミロさんが描く文字と絵画の融合作品は、掛け軸のように素直に観られる。日本のことを知ってくれている、と言う安心感からでしょうか。

画家の作品だけではなく、影響を受けただろうコレクション品も一緒に展示した企画展は珍しい、と言うか、初めてかな。ミロさんの人となりがよくわかる、楽しい企画展でした。

美術展情報

  • 音声ガイド : 600円(税込)
ミロ展

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