ポトフ 美食家と料理人

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ポトフ 美食家と料理人 映画・演劇
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以下の内容は、いわゆる「ネタバレ」を含んでいます。

★ あらすじ

美食家のドダンは食を芸術の域にまで高め、多くの人々から尊敬を得ており、友人たちも彼の料理を楽しみにしている。そんな彼が考案したメニューを実際の料理にしてしまうのが専属料理人のウージェニー。彼女はドダンの“感覚的”なオーダーも即座に理解し、手間を惜しまずに料理に仕上げる。

そんな彼らの料理の評判を聞きつけたユーラシア皇太子がドダンを晩餐会に招待する。だが、饗された料理は凡庸で、ドダンは飽き飽きしてしまった。そんな不満をウージェニーに語るうちに彼は思いつく。今度は皇太子を招待し、自分たちの料理を味わってもらおう、と。
そこから彼らの挑戦が始まる。皇太子をもてなす料理を作り出さねばならない。彼の食に対する想いを示す料理とは何なのか。彼が思いついたのは家庭料理の定番である「ポトフ」だった。

ドダンとウージェニーの美食家と料理人としての関係はすでに二十年。彼らは愛し合う中ではあるものの、結婚はしていない。だが、新メニュー考案に奮闘する中、ついに決意をして結婚する事とした。
結婚式には友人たちも数多く集まってくれ、二人を祝福してくれた。

幸せの中、皇太子へのメニュー考案に没頭しようとした矢先、突然の不幸が訪れる。二人の仲は、そして皇太子に饗するメニューの行方は。。。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演:Juliette Binoche, Benoît Magimel, Bonnie Chagneau-Ravoire, 他
  • 監督:Anh Hung Tran
  • 脚本:Anh Hung Tran
  • 小説:Marcel Rouff
  • 料理監修:Pierre Gagnaire

★ 感想

10時半頃から始まった回を鑑賞したんですが、朝食をちゃんととってきたのに、とにかくお腹が空いてきてしまいました。ぐぅ~と鳴りそうでちょっとビクビク。それだけ料理のシーンが多いんですよ。料理をしているシーンも丁寧に描いていて、レシピがわかるくらい。そして主人公のドダンが友人たちを招いた会食のシーンも、みんな美味しそうに食べるんですよ。

コンソメスープを作るだけで、どれだけ手間暇かけるんだってくらい。そしてその調理シーンを長回し。ノルウェー風オムレツなんてアイスクリームが入っているんだから驚き。この時代にもポータブル氷室みたいなものに氷を貯めておいて、そこでアイスクリームを作っていました。そんなシーンもしっかり描かれている。映像もきれいだし、肉を切ったり、スープを裏ごしする音までもがきちんと聞こえ、感じるはずのない香りまで伝わってきた気がするほど。
そして、そんなシーンの連続なのに、全く退屈しないんですよ。とても自然だし、料理が出来上がっていく過程が主人公たち二人の濃密な会話のよう。料理を通して愛を語り合っているのがよくわかる。

だが、それ故にウージェニーの死後のドダンには少々違和感を感じてしまった。あれだけ「唯一無二」という感じを出していた“相棒”なのに、以外とすぐに次の料理人候補が現れてしまう。結局は料理の方が大事だったのか、と。まあ、美食家なんだからそりゃぁ料理が一番なのは仕方ない。とは言え、なんかなぁという気持ちにはなってしまった。大切な人をなくしたあとの絶望と、そこからの立ち直り・再生ということなのだろうけど、もうちょっとウジウジしていてもよかったかな。もちろん、映画という限られた時間の中でストーリーを進めなければならないから仕方ないけど。

まあ、そんな不満を感じたのは、それまでのシーンでの二人の結びつきの強さが感じられていたからこそでしょう。
全体としてはゆったりとした気分で見られる良い作品でした。

★ 公開情報

★ 原作本、他

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