映画「8番出口」 観ている方も一緒に同じ場所をグルグル回っている感覚にさせられた

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8番出口 映画・演劇
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★ あらすじ

ある男がドアにへばりつくようにして地下鉄に乗っている。インイヤー・イヤホンで音楽を聴き、周りの騒音を遮断している。そこに彼女から電話がかかってきた。駅について下車しつつ電話に応答すると、「赤ちゃんができた」のでどうしようとの話だ。男はすぐに返事ができない。クラクラするほどの目眩が男を襲う。出口へ急ぐ客たちにぶつかり、ふらつきながらも階段を上っていき、その先の通路に進んで行く。

と、それまで多くの客が行き交っていたはずなのに、急に男は通路で一人になっている。行き先案内板を見ると「0番出口」の表示が。先に進むと長身の男(おじさん)が向こうから歩いてくる。おじさんは男を無視するように無表情で脇目も振らずに通り過ぎていった。その通路を過ぎて曲がり角を曲がるとまた案内板が。ずいぶんと歩いてきたのに案内板にはまた「0番出口」の表示が。そしてその横には謎の指示が書かれていた。

異変を見逃さないこと
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
異変が見つからなかったら、引き返さないこと
8番出口からそとにでること

男は訳が分からなくなるが、指示に従って先(?)に進んで行った。だがそれは終わりの見えない迷走の始まりだったのだ。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演:二宮和也、河内大和、浅沼成、花瀬琴音、小松菜奈
  • 監督:川村元気
  • 脚本:平瀬謙太朗、川村元気
  • 原作:KOTAKE CREATE
  • 音楽:Yasutaka Nakata、網守将平

★ 感想

このゲーム自体はやったことがないが、YouTubeには乃木坂46の賀喜遥香をはじめ、有名人がプレイしている動画が数多く上がっている。それで内容は知っていた。なんとも斬新なアイデアだなぁと感心しながらそれらの動画を見ていた。そしてこの映画の公開。いったいあのゲームの世界をどうやって映画にしたのか、ストーリーはどうなっているのか、とても興味深く思っていた。

登場人物には名前がない。配役として「迷う男」「歩く男」などと記載されている。さらには登場人物たちが何者なのかの説明もほとんどない。彼女との関係に悩んでいる「迷う男」くらいだろうか。それも、彼女との途切れ途切れの電話の会話から推測することができる程度だ。
それなのに、なぜ彼がこの迷宮に迷い込んでしまい、もがき苦しむことになるのか納得できてしまう。そしていつの間にか観ている側も引き込まれてしまう。先の見えない漠然とした不安や、単調な日々の繰り返しというのは誰にでも共感できるポイントだからなのだろう。

だが、話はそう単純ではなかった。途中で主人公の「迷う男」は、現在と未来とが交錯するような光景を夢想する。映画のラスト、ゲームをコンプリートした時のようにスッキリと終わるかと思いきや、「迷う男」はいいとして「歩く男」や少女はどうなったのか、あのままなのか気になってしまった。さすがに「歩く男」を主人公にしての第二作目だかスピンオフだかは難しいだろうが、ちょっとモヤモヤ。でも、次があるとすれば「8番乗り場」か?

二宮和也の演技が良かった。自分の行き方に迷いが生じている男の表情から、迷宮(地下鉄の通路?)を彷徨ううちに段々と何かを見いだしてきて、それが顔つきに表れてくるようになる。単調になりそうなシーンが続くのに、そこにいい変化を与えてくれていた。

実は、地下鉄に揺られながら眠ってしまった男の夢を見せられていたのかとも思える、冒頭と最後のシーンの繋がり。同じ場所をグルグル回ってしまったのは観客の方だったか? ユニークで、とても面白い映画でした。

★ 公開情報

★ 原作本、他

ゲームはこちら。

コメント

  1. JUNNK より:

    二宮和也は私も好きな俳優さんの一人です。