「映像研には手を出すな!」おとぎ話のような学園ドラマに惹き込まれる

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映画・演劇
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以下の内容は、いわゆる「ネタバレ」を含んでいます。

★ あらすじ

極度の人見知りだが、アニメだけは大好きで、いつも一人で壮大な物語を妄想している浅草。自主性を重んじると言われる高校に入学し、そこでアニメーションを作りたいと思っている。そんな浅草が唯一心を許している同級生の金森も、これまた人を遠ざけて生きている。金森はプロデューサーの能力に長け、いつも何かを企てては金儲けに繋がらないかと考えていた。二人の前に、絶大な人気を誇る読者モデルの水崎が現れた。水崎もこの高校に入学したのだが、実は彼女もアニメーターになるのが夢だったのだ。そんな三人がある事件をきっかけに互いに手を結ぶ。そして「映像研究同好会:映像研」を立ち上げ、自分たちのアニメを作ろうと思い立ったのだ。

だが、その高校では自主性を重んじるあまり、500近くの部やクラブ・同好会が乱立していて、大・生徒会なる組織が許認可権・予算権限を握ってコントロールしていた。映像研を正式なクラブにするためにはこの大・生徒会に認めてもらわないとダメなのだ。だが、アニメを作るためには校則・規則などはお構いなしの三人組。早速、大・生徒会から目を付けられ、クラブ統廃合の標的とされてしまう。統廃合を免れるには、文化祭でその“実績”を発表し、認められないといけないのだ。

かくして映像研の三人は、理想のアニメ“最強の世界”を創り上げるべく、これまた統廃合を逃れたいと思っている他のクラブと“提携”を結んで乗り切ろうとしていた。彼女らが手を組んだのは「ロボット研究部」だった。ロボット研が代々改良を加えていったロボットを主人公にしたアニメを描く企てだ。
だが、浅草と水崎はロボット研のロボットにいちゃもんを付け出してしまい、いきなり決裂の危機に。果たして彼女たちはアニメを創り上げることができるのだろうか。。。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演:齋藤飛鳥, 山下美月, 梅澤美波, 小西桜子, グレイス・エマ, 福本莉子, 松崎亮, 桜田ひより, 板垣瑞生, 赤楚衛二, 鈴之助, 出合正幸, 松本若菜, 山中聡, 浜辺美波, 髙嶋政宏
  • 監督:英勉
  • 脚本:英勉
  • 原作:大童澄瞳
  • VFX統括:村上優悦

★ 感想

原作の漫画がヒットし、アニメ化したところ、これまたヒット。そして乃木坂46のメンバー主演でTVドラマ化され、その流れで今回の映画となっている。

舞台は高校。一応、学園ドラマなのだろうが、授業風景は全く出てこない。みんな、一日中“クラブ活動”に精を出しているようだ。。。などと、野暮なことを言ってもしょうがない。なんと言うか、お伽噺か神話のようなものなのだろう。
J.R.R. トールキンの「指輪物語」では色々な種族が出てきて、互いに争ったり、協力したりして“ゴール”(魔王を倒す)へと向かう話だった。そしてこの「映像研には手を出すな!」では、何を目的にしているか分からない色々な部・同好会が一杯出てくる。内野と外野で別々の部になってしまった元・野球部や、新聞部から独立した号外部、そして上水道部に下水道部。大・生徒会の下っ端のような伝令部だの警備部。どの部もなぜか魅力的で、存在感がちゃんとある。ドワーフやエルフの種族がそれぞれに物語をもっているように、各部もそれなりにエピソードがチラチラと描かれているのが楽しい。世界観をしっかりと作るには、このような“裾野”が広がっていて、しかも土台がちゃんとしていることが重要なのだろう。もちろん、ダラダラと話があちこちに飛ぶのではなく、全体としてまとまっていなくてはならないから、そのさじ加減が難しい。詰まりは「映像研には手を出すな!」はそのバランスをうまく取っている成功例だと言うことだ。その点では、John Irvingの作品にも似ているかも知れない。

と、知ったかぶった解説擬きはこれくらいにしよう。いやぁ、とにかく魅力的なキャラクターが一杯出てきて、飽きさせない。しかも、みんな憎めない連中ばかり。大・生徒会にしたって、別に悪役という訳ではない。みんなそれぞれに“学園生活”を楽しんでいるようで、一年中、文化祭をやっている学校なのだろう、ここは。なんか分からんけど、みんなでがんばっちゃうあの高揚感そのものだ。この映画を観たらみんな、学生の時に戻った気分に慣れるんじゃないだろうか。COVID-19による抑うつ感を解消する、いや、一時でも忘れさせてくれる楽しい作品だった。

乃木坂46ファンの私はTVドラマから見始めて、原作も読んでいないし、アニメも観ていない。小説が原作の作品と違って、“イメージ”が最初からある漫画を原作にするとドラマ化や映画化は難しいのだろう。だが、この作品は“実写化”も評価されているらしい。乃木坂46ファンとしては一安心。「あさひなぐ」の時もその点では上手くいっていたようだし、乃木坂46はこの路線には向いているのだろうか。いや、喜ばしいこと。

それはそうと、気象研究部の浜辺美波演じる晴子だけは最後まで謎の存在だった。あれは二作目に続く伏線なのかな?

★ 公開情報

★ 原作本、他

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