上野公園にある国立科学博物館で「超危険生物展」を観てきました。
この企画展では一部作品を除いて写真撮影OKです。ただし、会場に掲載されている注意事項に従ってください。
展示内容
公式サイトの説明によると
危険生物の驚異的な能力を探る禁断の研究所! 強大なパワー、鋭い牙、猛毒、電撃――「必殺技」のメカニズムを、国立科学博物館を中心に、各地の貴重な標本、精巧なCG、学びにつながる模型、そして迫力満点の映像など、多角的な手法を駆使してご紹介します。生命の不思議さ! 奥深さ! 知的好奇心をかき立てる、危険生物の迫力満点の展示をぜひご体感ください。
とのこと。
展示構成は以下の通り。
- エリアA 肉弾攻撃系危険生物
- ラボ1 パワーファイター型
- ラボ2 キラーバイト型
- ラボ3 ウェポン型
- ラボ4 大群型
- エリアB 特殊攻撃系危険生物
- ラボ5 猛毒型
- ラボ6 化学攻撃型
- ラボ7 電撃型
- ラボ8 吸血型
パワーファイター型
弱肉強食、食うか食われるかの世界を動物たちは生きている。その意味で人類も同じだが、“知恵”という危険な(?)武器によって他の動物たちを圧倒している。とは言え、肉弾戦で闘わねばならなくなったら、人間は弱者に転落するだろう。
体重が大きいというのはそれだけで武器になる。走っている時の運動エネルギーは大きい。高い位置から身体の一部(象ならば鼻、キリンならば首)を振り下ろせば、運動エネルギーに位置エネルギーが加わり、人間などは敵ではないだろう。
象の鼻はほぼ筋肉でできていて、重さは150Kgもある。これを振り回せば、その破壊力は恐ろしいものだ。

筋肉の強さでいえば、ヒクイドリの蹴り攻撃や、大蛇の締め付け攻撃も圧倒的だ。
大蛇の場合、締め付けの際に自分の呼吸までも止まってしまわないような肺の構造になっている。相手を苦しめている間、自分はちゃんと呼吸できているのだ。そう、酸素が供給されなければ筋肉は動けないのだから。
キラーバイト型
ものを食べるだけでは無く、武器として噛む力を用いている動物も多い。相手をかみ殺すといえば虎や狼などがすぐに思いつくが、ゴリラも大したもの。人間の十倍の咬合力と持っているそうだ。もちろん腕力もすごいが、噛む力も侮れない。

カバは草食動物でありながら丈夫で巨大な犬歯を持っている。そして、咬合力は哺乳類No.1と言われている。こんなのに噛まれたら人の頭などスイカのように。。。。

ワニは咬合力もさることながら、獲物を噛んでからの動きが凄い。デスロールと呼ばれる、身体を捻る動きが得意で、これで獲物を噛み切るのだ。
ウェポン型
角という武器を持つ動物も多い。
サイの角は骨ではない。毛が集まり、固まったものだ。それでも、皮脂腺から分泌される物質によって硬く固まっている。1mの長さになることもあり、それが体重1tの巨体に付いているのだから、突進してこられたら自動車のボディーにも穴が空く。

ヘラジカなどの角は骨でできている。骨でありながらとても成長が早く、一年で生え替わるのだが、毎年これだけ伸びてくる。

アリクイの爪も強力な武器だ。蟻しか食べない彼らだが、朽ち木や地中に住んでいる蟻の巣を破壊して食べるため、それが可能なように強力な爪を持っている。動物園の飼育員がこの爪で襲われ、命を落とすという事故(事件)も起きているくらいだ。

大群型
一体ずつは小さくても、個体数が膨大で、それらが一気に襲いかかってくれば、これはとんでもない脅威となる。虫や魚の仲間でこの手の危険生物が多い。
古いアメリカの映画に「黒い絨毯」という作品があった。グンタイアリをモデルにした架空の凶暴な蟻の集団が人を襲うというもの。子どもの頃に観て、今でも一部のシーンを覚えているほど怖かった。
そんなグンタイアリやサスライアリは、多い時には5000万匹もの巨大な集団を形成し、行進先の全てを食べ尽くしてしまう。植物はもちろん、昆虫、トカゲ、蛇なども食べてしまう。子ヤギが餌食になったこともあったそうだ。

猛毒型
身体から毒を分泌する危険生物も多い。
かつては「口腔内に病原菌がいるので噛まれたら感染する」と言われていたコモドオオトカゲだが、近年の研究では否定されている。口の中はかなり清潔だったらしい。では安全なのかというとそうではなく、コモドオオトカゲは毒腺を持っているらしい。ただ、まだ研究途中で、どのような毒物なのかは解明されていないそうだ。

ヤドクガエルは、鏃(やじり)に塗る毒がこの生物から捕れることからその名が付いた。ただ、彼らは自分自身で毒を作ることはできないようで、食べる餌に含まれる物質によって毒が形成され、それを分泌する技を身につけたようだ。研究室で(無毒の)ショウジョウバエだけを餌に飼育すると、毒を持たないヤドクガエルに育ったとのこと。

哺乳類でも毒を持つものがいる。くちばしを持ち、卵を産むことで有名なカモノハシも毒を分泌する。後ろ脚の付け根にトゲのような器官があり、これを相手に刺して毒を注入する。繁殖期の雄同士の争いの武器らしいが、人が刺されるとその部位がパンパンに腫れ上がってしまうそうだ。可愛い顔をしているカモノハシだが、見た目に騙されてはいけない、要注意動物だった。

化学攻撃型
ミイデラゴミムシは身の危険を感じると摂氏100度の高温高圧ガスをお尻から噴出する。スカンクは強烈な匂いのおならを相手に吹きかける。ヒメコンドルはpH1.0-1.5の強烈な酸性の胃液(と吐瀉物)を吐きかける。

電撃型
動物は神経系の命令伝達に電気を使う。人間も筋肉を動かしているのは電気信号による。
その発電能力を極端に強くして武器にしているのがこれらの動物だ。デンキウナギ、デンキナマズの発電力は大きく、450V程度になる。人が感電死してしまった例もある。
シビレエイの発電力は19Vと弱めだが、電流は8Aにもなり、即死するほどの威力を持っている(人の皮膚は電気を通しにくいので、実際に死に至る可能性は低いらしい)。しかも、デンキウナギやデンキナマズが淡水魚なのに対してシビレエイは海に住んでいる。そう、塩分を含んだ海水は電気を通しやすいのだ。ホオジロザメさえ撃退するほどの威力になる。

吸血型
動物の血を吸い、それを栄養源としてる奴らだ。血を吸うだけでも恐ろしいのに、感染症を媒介することが多い。
ハマダラカはマラリアを媒介する。人類にとっては最強の危険生物は、実はこのハマダラカと言える。毎年、世界でおよそ60万人前後がマラリアで亡くなっているとのこと(WHO調べ:61万人:2024年)。2024年のHIV/AIDS関連の死者数が63万人(WHO調べ)だそうだから、それに匹敵する数字だ。
日本ではまだハマダラカによるマラリアの恐怖に怯える状況ではないが、感染症を媒介する他の虫は存在する。ツツガムシもその一つ。ツツガムシ病リケッチアという病原体を媒介し、発熱や発疹や、重症化すると臓器障害を起こすこともあるツツガムシ病を発症させる。

感想
「超危険生物」とはまあ、エッジの効いたタイトルにしたものだ。子どもから大人、特に中二病的オタクには刺さりすぎる内容だ。お蔭で土日は事前の予約(時刻指定)が必要なほどの大混雑。私は土曜日の昼過ぎに行ったのだが、いやぁ凄い人だった。
マニアックな内容ではあるけど、そこは国立科学博物館がやっているだけあって、本物の標本を使っての展示は迫力が違った。解説もきっちりしていて、キワモノだけではなかった。
面白かったのは「猛毒型」だろうか。こんな動物も毒を持っているのか?!と、驚きが一杯。上述したが、哺乳類のカモノハシまで毒持ちとは知らなかった。「有毒生物の進化系統樹」なる表が展示されていて、これを見る限り、まだまだ毒持ちの動物がいるんじゃないかと期待(?)できる。

一緒に行ったうちの奥さんもかなり興味を持ったようで、図録まで購入してしまった。しかも、帰ったその日に熟読していたくらい。誰もが楽しめる、良い企画展だった。
混雑を回避するために、なるべく平日に行くのがいいでしょう。
企画展情報
- 会期 : 2026/3/14(Sat) – 6/14(Sun)
- 開館時間 : 09:00 – 17:00
- 5/30(Sat), 5/31(Sun), 6/6(Sat), 6/7(Sun), 6/13(Sat), 6/14(Sun)は 09:00 – 19:00
- 休館日 : 月曜日 (6/8は開館)
- 料金 : 一般・大学生 2,300円、 小・中・高校生 600円
- 公式サイト :超危険生物展 科学で挑む生き物の本気
- 図録 : 2,600円(税込)




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