SOMPO美術館で「ウジェーヌ・ブーダン―瞬間の美学、光の探求」展を観てきました。
この企画展では一部作品に限って写真撮影OKです。対象作品を確認して撮影してください。
また、三脚・フラッシュNGなどの注意事項にも従ってください。

展示内容
公式サイトの説明によると
海の情景を描いた「海景画」と共に語られることの多いブーダンですが、その魅力はそれだけにとどまりません。油彩・素描・パステル・版画を中心に約100点で構成する本展では、人物や建築モティーフなどにも焦点を当てつつ、フランス近代風景画の発展に大きく寄与したブーダンの魅力を、新たな視点で問い直します。
とのこと。
展示構成は以下の通り。
- Ⅰ 海景 海景画家の誕生
- Ⅱ 空 瞬間の美学、光の探求
- 素描 Part 1 樹々、空、船、海 本質を捉える
- Ⅲ 風景 バルビゾン派からの学び
- Ⅳ 建築 旅する画家が見た風景
- Ⅴ 動物 身近なものへの眼差し
- Ⅵ 人物 戸外の群像表現
- 素描 Part 2 人物研究
- 版画 イメージの伝播
「Ⅰ 海景 海景画家の誕生」の一部作品のみ、写真撮影OKでした。
ウジェーヌ・ブーダンは「印象派の先駆者」と呼ばれ、クロード・モネに屋外で描く魅力を教え、その才能を導き出した「モネの恩師」としても知られているそうです。
モネの作品「印象・日の出」から印象派の名前が取られた話は有名ですが、ブーダンの海・港を描いた作品を観ていくと、日の出や夕景のシーンもあり、なるほど“繋がっている”と感じられます。刻々と姿を変える空の雲や、水面に映る揺らいだ船の影などは、色合いこそ落ち着いたものになっていますが、光を描いたという意味では印象派の先駆けと呼ぶに相応しいものばかり。

海や船をモチーフに、“光と大気”を描いた画家と言えば、ロマン派のウィリアム・ターナー。ブーダンの一昔前の画家ですね。ターナーの描く海は荒れ狂っていて、空の雲もドラマチックな雰囲気。
ブーダンも初期の頃は“荒れた海”を描いていたようです。

でもブーダンの画風は段々と変わっていったようです。彼はノルマンディー地方の港町に生まれ育ち、日々の様々な海や空の風景を眺めていたので、荒れ狂うよりも、静かな日常の様子を描くようになっていったようです。

ブーダンはカミーユ・コローやシャルル・ボードレールをして「空の王者」と言わしめたそうで、海を描くにしても画面の2/3は空。移り変わる空模様を一枚の絵の中に描いていて、確かに観ていると雲が流れているような錯覚に襲われます。
その中でも「空の習作」と題された作品はまさに“印象派”そのもの。残念ながら写真撮影はできない作品なので、これは是非、直接見ていただきたい。「ああ、これこそ印象派だ」と納得するでしょう。
そんな風に思いだすと、もうどの作品を観ても「これも印象派の走りじゃない?」と思えてきちゃいました。「傘をさす女性、ベルクの海岸」なんて、人物も風景もぼやけていて、モネの「日傘をさす女」と同じだろう?と思っちゃいました。
と言いつつ、「ドゥアルヌネ湾(フィニステール)のサンタンヌ=ラ=パリュのパルドン祭」を観ると数百人の人物が事細かに描かれていて、ブリューゲルの「農民の踊り」の様な感じ。
彼の描くテーマが全て印象派に繋がる訳ではない、ということなのでしょう。ただ、アトリエに籠もるのではなく、外に出て戸外製作をするというスタイルは確実に印象派の画家たちに伝わっていったようです。
感想
ウジェーヌ・ブーダンの作品を最初に観たのはSOMPO美術館がまだ“東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館”という名前だった2014年に開催された「ノルマンディー展」だったと思います。タイトルの通り、ノルマンディーを拠点にした画家たちの作品を集めた企画展でした。
それから十数年。ウジェーヌ・ブーダンだけの作品を集めた企画展ということで、これは観ねばと思い、前売り券を買って開催を待っていたのでした。

エドワール・マネやカミーユ・ピサロが「印象派の父」と呼ばれているそうですが、「印象派の先駆者」と呼ばれるウジェーヌ・ブーダンもその呼び名の通りだとよくわかった企画展でした。面白かった。
そう言えば今、アーティゾン美術館で「クロード・モネ展」を開催中。また、今年の秋に国立西洋美術館で「ターナー展」が開催されるとのこと。どっちも観に行かないといかんな、これは。
美術展情報
- 会期 : 2026/4/11(Sat) – 6/21(Sun)
- 開館時間 : 10:00 – 18:00
- 休館日 : 月曜日, 5/7 (5/4は開館)
- 料金 : 一般 2,000円 、25歳以下 1,200円、小中高校生 無料
- 公式サイト : 【開館50周年記念 ウジェーヌ・ブーダン展 】 | SOMPO美術館
- 図録 : 3,500円



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