SOMPO美術館「東郷青児 蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~」展

SOMPO美術館 美術展・写真展

SOMPO美術館東郷青児 蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~」展を見てきました。

例によって特別な許可をいただいて写真撮影しています。通常は撮影禁止ですので、ご注意願います。

ただし、一部作品(「コントラバスを弾く」、「女体礼賛」など九点)は撮影OKです。会場での指示に従ってください。

展示内容

七月に新装オープンしたSOMPO美術館。2020年度のスケジュールが大幅変更となってしまった訳ですが(過去の展覧会 | 展覧会・イベント | SOMPO美術館)、やっと二つ目の企画展開催となったのでした。来年度からは大丈夫なのかな。

さて、今回は収蔵品の中から東郷青児の作品と、彼が収集して、後に美術館に寄贈した作品を集めた企画展です。
公式サイトの説明によると、

モダンな美人画で知られる東郷青児(1897-1978)は、24歳から7年間をフランスで暮らし、63歳以降は毎年のように海外を旅してまわりました。本展では、日本とフランスを起点にした国際性を東郷の本質のひとつとみなし、東郷が旅先で見たもの、持ち帰った物、それらに刺激を受けた作品などを通じて、生涯、異国に強烈な興味を抱き続けた東郷の活動の足跡をたどります。モダンボーイと呼ばれた東郷の「旅」を切り口に、油彩、素描、彫刻、デザイン、写真資料、そして東郷の蒐集品など、これまで展示する機会の少なかった収蔵品約140点をご紹介します。パリからサハラ砂漠まで、尽きせぬ好奇心を胸に飛び込んでいった東郷の眼を通して、世界の旅をお楽しみください。

東郷青児蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~ | SOMPO美術館

とのこと。
展示構成は以下の通り。

  • 第1章 1920年代のフランス(1921-28)
  • 第2章 モダンボーイの帰国(1928ー35)
  • 第3章 イメージの中の西洋(1935ー59)
  • 第4章 戦後のフランス(1960-78)(1)リアルなフランス体験
  • 第4章 戦後のフランス(1960ー78)(2)二科の交換展と受賞
  • 第5章 異国の旅と蒐集品(1960-78)
  • 第6章 当館の設立と新たなる旅(1976-78)
  • 収蔵品コーナー

最初の展示品は、東郷青児の旅行カバンや使用していた画材、家具など。こんなカッコいいカバンを持って、戦前から世界を駆け巡っていたんですね。

SOMPO美術館

若かりし頃の画風はまさにキュビズム。女性を描いてもカクカクしている。

フランス滞在中は各地を巡ってスケッチをし、それらを作品に残している。

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帰国後、画風に変化が現れ、美術館のトレードマークとなっている「サーカス」などの作品を製作していった。

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二科展へも数多くの作品を出品するようになる。既に我々が馴染み深い“東郷青児”の画風、女性像になっていった。

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宗教(仏像)や神話をモチーフにした東郷青児ならではの“美人画”が確立されていく。

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戦後すぐにまたフランスを訪れた東郷青児。だが、当時のフランスは戦争によって荒廃し、美しかった街にも廃墟が目立つような状態だった。

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貧困に喘ぐ女性たちも“東郷青児の美人画”タッチで描いていった。都会的で妖艶な雰囲気と、描かれている女性たちの境遇とのギャップが哀しみをより深めている。

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東郷青児は二科展を通し、フランスの美術展との交換展を積極的に行っていく。

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その後、地中海沿岸の各国やアフリカ、中南米、アジアと各地をめぐるようになる。そして、エキゾチックな女性たちを描いていった。

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ペルー、アテネ、リオデジャネイロ、リスボン、ナザレ、ギリシア。各国でスケッチをしていった。

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仏像の収集も数多く行っていて、それらからインスピレーションを得た作品も多く描いている。六臂観音菩薩像と「女体礼賛」(四臂?)とが並べられて展示されていた。

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珍しく、男性を描いた作品もある。彫りの深い、精悍なイメージの彼は「タッシリの男」だそうだ。

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そして、本格的な彫刻作品も残している。ロベール・クーチュリエの作品を所有していて、それらからヒントを得たのだろうか。

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晩年の作品も展示されているが、驚くことに画風・タッチが大きく変わっているのだ。老いてなお製作意欲が旺盛で、新たな事への挑戦を続けていたことがよくわかる。

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東郷青児のコレクション作品は写真撮影NGだったので割愛。

最後のコーナーはSOMPO美術館の至宝とも言えるセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホの作品が並んでいます。

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美術館入り口に設けられたゴッホのひまわりのオブジェと、本物。

SOMPO美術館SOMPO美術館

最後の展示品は、1892年の「ファン・ゴッホ」展のカタログ。

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感想

COVID-19のせいで開館(新装オープン)が遅れ、今年度の企画展がいくつも中止になってしまったSOMPO美術館ですが、タイトル通りの“蔵出し”作品が並んだ今回の東郷青児のプチ回顧展を観ることができてホッとした気分。“お宝”収蔵品がこんなにもあったんですね、さすがです。

若かりし頃の東郷青児の作品群が特に興味深いものばかりでした。以前、「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」の時代に開催された東郷青児の作品群による企画展で、彼の描いた風景画に「こんな暗い雰囲気の絵も描いていたのか」と感じたことがありました。そして今回は「若い頃はキュビズム的な絵も描いていたのか」と新たな発見と驚いたのであります。あの時代のフランスに行くとみんなそうなっちゃうんですかね。

でも、帰国してから急速に(?)“東郷青児の美人画”の画風を確立していったのも面白かった。模倣に終わらず、オリジナリティをちゃんと発揮していったところがさすがです。日仏両国から勲章をもらっちゃっうのも頷けます。

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そんな独自の美人画が、仏像などにインスパイアされていたというのは知っていたけど、東郷青児がこんなにも仏像などを収集していたのも知らなかった。勉強熱心だったんですね。感性を磨くにはやはり“本物”に日々接していることが重要だったのでしょう。
そして、その熱心さは生涯衰えず、晩年になって画風・タッチを変えてみたり、彫刻まで作っちゃったりして、すごいパワー。いや、すごいですね。

土日祝日のみの営業とのことですが、二階のカフェでお茶も飲めるので、東郷青児のパワーに圧倒されたあとに余韻を感じながらホッと一息つくのも良いでしょう。企画展は年明けまでやっているそうだから、私も土日にまた行こうかな。

美術展情報

この企画展は日時指定入場制となっています。SOMPO美術館|オンラインチケットのページで申し込みをしてから来場願います。入場無料の人も事前登録が必要です。

  • 期間中、二階のCafé du Muséeで飲み物を注文した先着500名に、「東郷青児作品のコースター」をプレゼントするそうです。
    カフェは土日祝日 11:00-16:30 (ラストオーダー 16時)のみの営業とのこと。
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コメント

  1. 中野潤子 より:

    日時指定入場制とはちょっと困りますね。旅行者としては。

    • bunjin より:

      残念ながら、人気の高い美術館・博物館はみんなこの仕組みになっちゃっています。
      そのお蔭で、以前よりはゆっくりと観賞できる訳でもありますが。
      パンデミックが収まるまではこんな感じなのかな。もどかしいですね。

  2. タエコ より:

    写真がたくさんあって、わかりやすい紹介文。
    まとまった東郷青児の作品群を見たことがなかったので、行ってみます。
    カフェ、シンプルで良さそう。カフェに行くなら土日ですね。