東京都写真美術館「日本初期写真史 関東編」展で草創期の技術・写真家たちを学ぶ

日本初期写真史関東編 美術展・写真展

恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館で「日本初期写真史 関東編」展を観てきました。

展示内容

公式サイトによると、

毎年、東京都写真美術館では、写真の起源にフォーカスして、美術的のみならず、歴史的にも意義のある展覧会を行っています。

今回の「日本初期写真史 関東編」では、高橋則英氏(日本大学藝術学部 写真学科教授)の監修のもと、三部構成で幕末明治期における関東地方の写真文化を紐解きます。

東京都写真美術館

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • 第一章 初期写真抄史
  • 第二章 関東の写真家
  • 第三章 初期写真にみる関東

収蔵品を中心に、学術的な研究成果も含めて企画展としてまとめているシリーズ。

歴史的に最も速く公表された写真技術が、1839年のダゲレオタイプ。そこからカロタイプ、コロディオン湿板方式、アンブロタイプ、ゼラチン乾板、そして1850年に発表された鶏卵紙と、次々に新たな技術が開発されていった。本展最初のコーナーでは、各技術を用いて撮られた写真や、カメラ・乾板などの機器が展示されていて、写真技術の歴史を概観できるようになっている。

そんな写真技術が幕末の日本へと伝わってきた。初めは、欧米各国の人々に撮られる側だった。ペリーの艦隊に随行してきた使節の一員だったりジャーナリストだったりと、多様な人々が日本の風景を、そして日本人の風俗を写し、各国に持ち帰って報告・旅行記の出版を行っていった。中には、横浜などに残り、写真館を開いて商売を始めるものもいて、やがて彼らから技術を教わって独立していく日本人も現れていった。

鵜飼玉泉、上野彦馬、下岡蓮杖らは、主にコロディオン湿板方式を習得し、自ら写真館を開設して、日本で最初の職業写真家となっていった。そして、時代が変わって明治になると各地に写真家が現れていく。埼玉の熊谷(吉原秀雄)、茨城の水戸(宇佐美竹城)、栃木の日光市(片岡如松)、千葉の千葉市(豊田尚一)に、それぞれ明治初年に写真家・写真館が誕生している。

最後のコーナーでは、日本を訪れた外国人、そして各地に誕生した写真家たちによる、当時の人々の様子や関東各地を撮影した作品を展示している。
本牧神社や鶴岡八幡宮、そして横浜の居留地をパノラマ的に写したものや、傘針や飛脚など、庶民の暮らしを撮ったもの(と言っても、露光時間が長くかかるため、スタジオでその様子を再現したものだが)などだ。中には、明治天皇を隠し撮りしたものもあり、それがきっかけで欧米の君主のように天皇も肖像を世に出す必要があるとなって、新たに(公式の)肖像写真が撮影されもした。そんな作品も展示されている。

感想

日本初期写真史関東編

タイトル通り、写真の歴史について、非常にいい勉強になります。上野彦馬や下岡蓮杖、鵜飼玉泉、そしてフェリーチェ・ベアトなどの写真家の名前は知っていましたが、今回の企画展でさらにいろいろな名前が出てきて、なるほど日本の写真創成期にはこんな人たちも活躍していたのかと学んだ次第。明治になって一気に各地に写真技術が広まり、写真家が育っていった様子がよくわかった。
写真の技術を極めたいという学究の徒もいれば、いち早く商売として成功する者、そして芸術的作品を生み出そうとする者と、いろいろな人が一気に現れた感じ。新たな技術やメディアの出現の時には今でも似たようなものでしょうから、そんなことも写真の歴史から学べそう。

また、ダゲレオタイプだのカロタイプだの、写真技術の歴史も改めて学ぶことができました。これまでにも何度か見てきた・本で読んできた話ではあるのですが、こうやって“復習”する機会を設けてくれるのはありがたいこと。当時のカメラなど、実物を見ながらなので理解もさらに深まります。
さらには日本でそれらの技術がいつごろ、どのように受容され、利用されるようになったかも知ることができました。幕末の頃はコロディオン湿板方式で撮られていたとのこと。撮影現場で現像もしないといけないから大変だったでしょうね。実際、“ポータブル暗室”を路上で使っている様子を写した写真も展示されていて、その大変さがよくわかりました。でも、そんなに大変なのに、スタジオだけではなく、屋外で撮られた作品が多く、当時の写真家たちはがんばっていたんだなぁと偲ばれます。そう思うと、スマホで気軽に散歩写真が撮れる今の時代の有り難みが再認識させられた感じでした。

今回も楽しく勉強できた、いい企画展でした。

写真展情報

  • 会期:2020/12/1 (Tue) – 2021/1/24 (Sun)
  • 開館時間 : 10:00 – 18:00
  • 休館日: 月曜日, 1/12
  • 料金 : 一般700円 学生 560円 中高生・65歳以上 350円 小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料
  • 公式サイト : 東京都写真美術館
  • 図録 : 1,800円(税別)

コメント

  1. 中野潤子 より:

    こういう勉強ができるのはいいですね。

    • bunjin より:

      年に何回かある収蔵品をメインにした企画展なのですが、毎回、テーマ設定が面白くて、同じ作品を観ても新たな学びがあります。

  2. taeko より:

    これと、前の記事「宇宙の旅」の2つが同時に見れるから、丁度いいと思ったのですが、明日まで、なのですね。明日は雪という天気予報、コロナでの外出自粛があって、出かけにくいのが残念です。写真美術館、きれいで、見やすい美術館なので、また、いつかの折に。

    • bunjin より:

      恵比寿駅からは雨に濡れず、雪に降られずにたどり着けるんですけどね。
      明日も寒そう!