SOMPO美術館「モンドリアン展」で具象から抽象への軌跡を知る

美術展・写真展

SOMPO美術館(旧館名:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)で開催中の「モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」内覧会に参加してきました。

例によって特別な許可をいただいて写真撮影しています。通常は撮影禁止ですので、ご注意願います。

一部、記念撮影スポットがあり、そこでは誰でも撮影OKとなっています。

展示内容

ピート・モンドリアンは1872年にオランダで生まれる。来年が生誕150周年。それを記念しての企画展。デン・ハーグ美術館の作品50点を中心に、国内外美術館の作品も併せて展示されています。

公式サイトの説明によると

モンドリアン作品は、初期のハーグ派様式の風景画、象徴主義や神智学に傾倒した作品、キュビスムの影響を受けて独自展開した作品、晩年の水平垂直線と原色平面の「コンポジション」まで多岐にわたります。モンドリアンが主張した理念「新造形主義」に基づき、ドゥースブルフなどの画家、建築家と共に1917年に「デ・ステイル」が結成され雑誌が創刊されました。モンドリアンの絵画構成は、デザイン領域まで影響を与えています。「デ・ステイル」のプロダクトデザインを合わせて紹介し、モンドリアン芸術の広がりを再検証します。

【モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて】 | SOMPO美術館

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • モンドリアン作品について
  • モンドリアンとデ・ステイル
  • 収蔵品コーナー

1890年代、1990年代の初期の作品は、農村の牧歌的な風景を描いたものが多く、オランダ絵画の伝統に則った形だ。

初期の農村風景画

印象派っぽい作品もある。ただ、水面に映る木々と実体とのシンメトリー性が、後のモンドリアンの画風・画面構成を暗示しているようにも思える。

印象派っぽい作品

モンドリアンは象徴主義・神智学に傾倒していく。ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの影響を受けたそうだ。
さらには、ドイツの詩人かつ色彩理論家だったゲーテの影響も受け、実験的な色彩の作品も描いている。女性の肌には水色やオレンジ色、髪にも茶色、そして瞳もオレンジだ。

象徴主義・神智学

そして、キュビズムへと傾倒していき、抽象画への志向を高めて行くことになる。とは言え、単なる模倣ではなく、そのキュービック化にも独自の観点があるようだ。

キュビズムへ

そして「コンポジション」へと到達する。その頃は、木々をモチーフにしたり、楕円の中に配してみたりと、様々な試みが為されたようだ。

コンポジション

テオ・ファン・ドースブルフらと芸術雑誌「デ・ステイル」を創刊し、活動していく。
だが、彼らが絵画を要素へと還元し、それを再構成するという要素主義に進み、三角形や斜めの線を用いていくと、モンドリアンは異を唱え、デ・ステイルを去ってしまったそうだ。

デ・ステイルの画家たちの作品

そしてモンドリアン自身は、かの「コンポジション」を確立していったのだった。

コンポジション

感想

抽象画と言えばモンドリアン。あの赤、黃、青、白、そして黒の線で構成されたタイル状の絵は、モンドリアンの名前を知らなくても、誰もが見たことのある一枚でしょう。そんなモンドリアンさん、若かりし頃は印象派の影響を受け、華やかな風景画を描いていました。そんな辺りの作品から展示されています。キラキラと輝く空の下に広がる農村の風景はまさに印象派。そして、しばらくすると今度は点描画の技法を取り入れていきます。とは言え、ちょっと変わっていて点描もあるんだけど、線状に色を分解している技法もあって、線描画という感じ。しかも、同じ対象を点描・線描の両方で描いていたりします。これはどういう意図なのかな。後の”コンポジション”に向かう途中の実験段階だったんでしょうか。点・線・面と進んでいく、と単純に位置づけてはいけなそうだけど、その先を予感させる技法の変化と言えそう。

点描・線描

こんな感じで、画家がどのように彼の・彼女の画風を確立していったのかの変遷がわかる展示、面白いです。ピカソも青の時代などを経てキュビズムに至っているし、どんな画家もいきなり”最終形態”になるわけじゃない。その歴史、特に紆余曲折があったりするとさらに興味深い。ものをじっと見つめ続けると、三原色に分解されて見えてくるのだろうか。昆虫や、イカ・タコがどのように世界を見ているかわからないが、人の目も系統発生の過去の記憶を持っているのかもしれない、画家たちは本当にそんな風に世界を見ることができたのかも知れない、などと思いたくなってしまう。

テキスタイル

モンドリアンは抽象画をリードしていく存在になっていく。同時代の画家たちの作品も何点か展示されていましたが、なるほどモンドリアンの作品に似ています。そして、もちろんそれぞれの個性も持っていて、見比べるのも楽しい。気に入ったのはハンス・リヒターさんの「色のオーケストレーション」。黒の背景に赤や青、黃の正方形・長方形が散りばめられている(?)作品。一言でいうと”かっこいい!”んですよ。たまに、「この絵、欲しいな。部屋に飾りたいな」と思うことがあるけど、これもその一枚でした。

色のオーケストレーション

日本で「モンドリアン展」が開催されるのは23年ぶりなのだそうです。確かに、展示されていた、モンドリアンを紹介した日本の書籍も年代物ばかりでした。サイケデリックなんてのが流行った頃なのかな。
生誕150周年を期に、もう一度、「で、コンポジションってなに?」と考えてみるのも楽しそうですね。

モンドリアンを紹介した日本の書籍

なお、展示スペース内に記念撮影スポットが設けられています。この椅子にも座っていいみたい。うむ、カッコいいね!

記念撮影スポット

美術展情報

モンドリアングッズも色々出ています。

コメント

  1. Taeko より:

    もう始まっていたのですね。
    たくさんの作品。見たことがないものばかりです。これらからお馴染みのコンポジションがどうやって構成されていくのかが、見ているとわかるのでしょうね。
    行ってみます。

    • bunjin より:

      私もほぼ「コンポジション」の作品しか観たことがなかったので、いい勉強になりました。