「公文書でたどる沖縄の日本復帰」展

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公文書でたどる沖縄の日本復帰 美術展・写真展
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国立公文書館で「公文書でたどる沖縄の日本復帰」展を観てきました。

国立公文書館では写真撮影OKです。ただし、フラッシュ・三脚NGなどの注意事項がありますので、確認の上、撮影してください。

展示内容

公式サイトの説明によると

令和4年(2022)は、昭和47年(1972)に沖縄が日本に復帰して50周年を迎えます。これを記念して、戦後の沖縄の歩みと日本政府の沖縄に関する政策を、当館所蔵資料から描く特別展を開催します。

 当館は国の行政機関から移管された歴史公文書等を所蔵しており、その中には、戦後アメリカの統治下におかれた沖縄の援助、復帰に向けた法制度の整備、復帰後の振興開発政策等の日本政府の沖縄に関する政策を示す資料が含まれています。 また、復帰を実現した佐藤榮作首相の資料の寄贈を受けています。これらの資料から、沖縄がどのように日本への復帰を果たしたか、また、復帰後の沖縄の歩みがどのようなものだったのかをご紹介します。

展示会情報:国立公文書館

とのこと。戦中から話が始まるので、約八十年の歴史を概観する形となっています。

展示構成は以下の通り。

  • 第一部 沖縄戦と沖縄の日本からの分離
  • 第二部 復帰に向けての動き
  • 第三部 日本への復帰
  • 第四部 沖縄の振興開発

沖縄が陥落したのちも、当時の内閣は「まだこれからだ」と言った主旨の告諭を閣議で決定しています。戦争を終わらせることがもうできなくなっていたんですね。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

戦後すぐに出された連合国最高司令官覚書。これによって「若干の外殻地域」が日本から分離されることになる。これによって沖縄や奄美諸島が米国の直接統治下に入った訳です。“若干”と言う言葉がなんとも引っかかります。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

教科書にも出てきて、名前だけは覚えている「サンフランシスコ平和条約」。何ページあるんでしょうね、この資料。国立公文書館  アジア歴史資料センターで関係資料が見られるようですが、読むのは大変そう。
キャプションにもあるように、初めは奄美諸島も対象だったのが、二年後に日本に復帰しています。これはなぜだったのかな。戦後史も勉強せねば。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

米軍統治下では「琉球政府」が“自治組織”として沖縄の行政を担っていたとのこと。日本政府はこの琉球政府に対して産業振興やらなんやらの資金貸し付けをしていく。また、民間レベルでも援助活動が盛んになっていく。そんな活動を通して沖縄返還に向けた流れを作っていった。
下の資料は当時の内閣総理大臣だった佐藤栄作の日記。1960年に沖縄を訪問したことが綴られている。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

1971年、沖縄返還協定が日米間で結ばれる。下記資料はその公布原本。ただ、沖縄の日本復帰がなったのは翌年(1972年)のこと。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

ニクソン大統領と会談する佐藤栄作首相。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

沖縄復帰記念式典で佐藤栄作首相が読んだ式辞。
説明によると、この資料は総理秘書官だった人が保存していたものを寄贈されたそうです。総理大臣が発した言葉ですからね。こう言うものも最初から「公文書」として保存すべきかな、とは思います。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

公用地等の“暫定”使用に関する法律案。施行から一年で米軍の利用地は自衛隊に引き継がれ、云々と言った主旨の文言になっています。
が、現状は知っての通り。このあとの流れをもっと知る必要があるでしょう。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

厚生省による遺骨収集事業に関する資料。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

中小企業支援策に関する資料。こちらも、未だに他地域との格差は大きいまま。

公文書でたどる沖縄の日本復帰

感想

沖縄には観光旅行で一回行ったことがあるくらい。それでも米軍基地の大きさに驚かされた。日米安保条約の是非は置いておくとしても、ここまで一箇所に固まっているのは確かに違うなと再認識した。
と言いつつ、旅行から帰ってきてしばらくするとそんなことも忘れてしまっていた。今回の企画展で再々認識した次第。

サンフランシスコ平和条約で沖縄(および奄美諸島)が米軍統治下に入ることが定められたとのことですが、なぜこの地域だけだったんですかね。全部でも良かったはずなのに。この地域だけを特別扱いする理由は今回の展示では分からなかったので、その辺りはいつか勉強したいなと「宿題」として持ち帰ってきた気分。
沖縄返還交渉では密約が色々とあったと言われていますが、少なくとも今回の企画展では取り上げられていません。「公文書」として残っていない、もしくは秘匿されているからなのでしょう。こちらの話もどうなっているのか知りたいものです。
日本復帰後、経済支援は本格化し、ダムを造ったり、モノレールを通したり、そして沖縄海洋博を開催したり、とあれやこれやをしていることが公文書の数々からも分かります。でも、結果として所得は低く、失業率は高いまま。こちらも、努力点はもらえるかも知れないけど、結果は落第点でしょう。上記の通り、国も何とかしようとはしていたけど、何がダメなんでしょうね。この点も謎が残りました。

なんか、宿題が山程って感じになった企画展。まあ、沖縄問題だけではなく、現代史はほとんど勉強していないので、知らないことばかりです。この企画展を機に、少し学んでみるかという気になってきました。まあ、今は「鎌倉殿の13人」に絡んで吾妻鏡を読み進めているところなので、ちょっと先になりそうですが。

美術展情報

  • 会期 : 2022/4/23(Sat) – 6/19(Sun)
  • 開館時間 : 09:15 – 17:00
  • 休館日 : 会期中は無休
  • 料金 : 無料
  • 公式サイト : 展示会情報:国立公文書館
  • 図録 : 特別展展示図録 800円
  • 参考書

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