東京都写真美術館 「ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026」展

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ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026 美術展・写真展
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恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館で「ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026」展を観てきました。

展示内容

Sony World Photography Awards(ソニーワールドフォトグラフィーアワード)は、名前の通り、ソニーが支援する写真コンテストです。「組写真部門(旧プロフェッショナル部門)」、「単写真部門(旧一般公募部門)」、「ユース部門(19歳以下)」、「学生部門」の4部門があり、「誰もが無料で参加できる、開かれた写真コンテストです。国境やジャンルを超えて、今を語る写真家たちに光を当て、写真の多様な可能性を世界へ届ける」ことを目指しているそうです。

東京都写真美術館の公式サイトによると、

本展では、「ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026」の受賞作品に加え、Outstanding Contribution to Photography(特別功労賞)を受賞したJoel Meyerowitz(ジョエル・マイロウィッツ)氏の作品を通じて、世界各国の写真家による多様な視点と、現代写真の国際的な潮流を紹介いたします。
展示構成は、写真コンペティションの受賞作品展に一般的な部門別・カテゴリー別の構成ではなく、「Absence(不在)」「Humans in the Stories(物語の中の人々)」「Conflicted Territories(対立する領域)」の3つのテーマに沿って構成します。各作品を個別の受賞作として鑑賞するだけでなく、作品相互の関係性を通じて、現代写真が映し出す世界の姿を体験いただければ幸いです。

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  1. Absence(不在)
  2. Humans in the Stories(物語の中の人々)
  3. Conflicted Territories(対立する領域)
  4. Joel Meyerowitz(ジョエル・マイロウィッツ)氏 作品展示

失われた記憶や、消えゆくアイデンティティ(文化や、暮らしや、人そのもの)がテーマになっているのが「Absence(不在)」の展示作品たち。
メキシコでは人が行方不明になる事件が頻発しているそうです。そんな状況を“アルバムの中の一枚”のような雰囲気を持った構図で不在を明示的に表した作品群がこちら。

ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026

抗議のシンボルとなったものを並べた作品。馴染みのないものもあるが、調べてみたところ

  • スイカ : パレスチナの抵抗と連帯の象徴。パレスチナの国旗に使われている「赤・緑・白・黒」の4色がカットしたスイカの配色(赤い果肉、緑の皮、黒い種、白い境界線)と一致しているため。
  • 赤いソックス:主に1970年代の急進的(ラジカル)フェミニズム運動における抵抗と解放の象徴。特にデンマークで大きな活動となった。
  • 黄色いアヒルの人形:中国では天安門事件の戦車をアヒルに置き換えたコラージュ画像がネットで拡散される。タイでは武装警察に対する「非暴力」と「盾」の象徴となった。
  • ワイヤハンガー:中絶の違法化に対する抗議の象徴。闇中絶で胎児をかき出す器具として使われたのが「針金のハンガー(ワイヤーハンガー)」だったことから。
  • ベレー帽:1960年代後半のアメリカで、アフリカ系アメリカ人への人種差別や警察の暴力に対抗するために結成された「ブラックパンサー党(Black Panther Party)」が黒いベレー帽をかぶっていた。また、キューバ革命の指導者であるチェ・ゲバラが黒いベレー帽をかぶっていたので。

といった意味があるそうです。写真としてはカラフルで楽しげな雰囲気の作品なのに、実はそのようなメッセージを秘めていたのでした。

ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026

エクアドルの森は単なる原生林ではなく、人がそこに介在し、定住する場でもある。そんな森を文化的空間として捉えた作品。
赤く見える葉(花?)の一枚は、紫外線を用いたライトペインティング技法で撮られた作品。人が認識できない紫外線を通して見た森は、また異なった姿を見せてくれる。なお、鳥類の一部はこの周波数の光も認識できるらしい。

ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026

アルゼンチンとチリにまたがるパタゴニア地方の風景写真は、国境など消え去り、ただ美しさだけがそこにある。
一方、スウェーデンの製紙工場は雲と影、そしてコンクリートの壁が重なり合い、抽象的な風景美を生み出している。

ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026

ブラジル郊外の食料品店と、日本の遊園地とガソリンスタンド。夜になって客が去ったあとの建造物は、昼間と異なった表情を見せ、まるで舞台空間のよう。

ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026

ソニーワールドフォトグラフィアワードでは写真界に多大な貢献を果たした個人や団体を称える特別功労賞を設けている。2026年はJoel Meyerowitzジョエル・マイロウィッツ)氏が受賞した。ストリートフォトグラファーとして、写真界のアイコンとなっている人。

そんな氏の作品が数多く展示されている。

ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026
ソニーワールドフォトグラフィーアワード2026

感想

この賞、2007年に設立されて「世界最大規模かつ最も権威のある写真コンペティションのひとつ」となっているとのこと。勉強不足で全く知りませんでした。ソニーのカメラを使っているんですけどねぇ。「誰でもエントリーできる」賞だそうですが、さすがに私は参加するのもおこがましく思われてしまいます。

テーマ性がはっきりとした作品が多いので、観ている方も共感したり、感情移入したりし易い気がしました。もちろん報道写真展などは「伝える」ことが元々の主旨ですから、テーマが強く出ているのは当たり前ですが、他の写真展だと純粋に「きれい」だの「楽しそう」といった美的・感覚的な作品が多い気がします。そんな時には作品を観るけど、横にあるキャプションは読まない。
それに対して今回の作品群はじっくりとキャプションを読みたくなるものばかり。まあ、説明がなくとも何が言いたいのか読み取れる作品の方が良いんだ、という考え方もあるかも知れませんが、観る側の持つ知識には偏りがあり、地域・文化による“常識”もそれぞれ異なっている。報道写真展の作品がそれらの共通項をもって訴えかけているのに対し、この賞の作品群はもう少し“私的”なものが占める割合が大きいのかもしれません。どちらが良い悪いではなく、違う楽しみ方ができるということなのでしょう。

スイカやワイヤーハンガーにそういう意味が込められているとは、今回の作品を観て、家に帰ってから調べて初めて知りました。いい勉強のきっかけをもらった感じで、その意味でも楽しめる写真展でした。

写真展情報

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