「新・晴れた日 篠山紀信」展 やっと美術館再開して、早速観てきました。

新・晴れた日 篠山紀信 美術展・写真展

恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館で「新・晴れた日 篠山紀信」展を観てきました。

展示内容

公式サイトによると、

「新・晴れた日」と題した本展は、この『晴れた日』の構造を使って、二部構成で60年間にわたる篠山紀信の116作品を展覧します。第1部では写真界で注目を集めた1960年代の初期から、『晴れた日』や1976年のヴェネチア・ビエンナーレでも出品された『家』ほか、その後の幅広い活躍の原点となる1970年代までの主要作品で構成。第2部では、1980年代以降の作品を中心に、バブル経済による変貌から、2011年の東日本大震災を経て、2021年に向かい再構築される東京の姿まで、創造と破壊、欲望と不安が相即不離な変化の時代をとらえた作品を紹介します。

東京都写真美術館

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • 第1部 三階展示室 1960年代~1970年代
  • 第2部 二階展示室 1980年代以降

劇団 天井桟敷 のメンバーを写した「天井桟敷一座」から本展は始まる。そして二枚目が「日米安保条約反対デモ」だ。 1960年代から既に、篠山紀信は様々な社会の動きを捉え、作品に残していたのだ。

田中角栄や石原慎太郎、そして土光敏夫など、政財界の大物までも被写体としている。一方で、梅雨入りした曇り空を撮ってみたり、北海道の開拓地に残る廃屋を追ってみたりと縦横無尽だ。この当時、週刊雑誌に“連載”を持っていたため、テーマを捻り出していたのだった。

1部の終わりは、月刊「明星」の表紙を飾った作品群だ。山口百恵や野口五郎、天地真理に郷ひろみと、往年のアイドルたちの輝く姿が見られる。

第2部は「TOKYO NUDE」と題した作品群で始まる。東京の持つ不思議な魅力を伝えるべく、パノラマ写真や夜景などと女性のヌードとを合わせ、作品を作っている。

また、3・11の被災地(福島県相馬市)を訪れ、瓦礫の山となった“元”家屋などを撮っている。津波の恐ろしさがストレートに伝わってくる作品たちだ。

感想

仕事の幅がものすごく広いんですね。改めてそれを知りました。雑誌「明星」の表紙のためにアイドルを被写体にしたかと思えば、街中でヌードを撮るし、かと思えば砕け散る荒波をアーティスティックに写してみたり、3・11の被災地をルポしたり。もちろん、どれもがプロの出来。流石です。

二階、ミュージアムショップ前のスペースで、篠山紀信さんのインタビュー動画が上映されていたんですが、自身のキャリアについて語っています。日大芸術学部に通いつつ、夜間の写真専門学校も卒業し、広告代理店に学生をやりつつ入社したのだとか。初めは冷蔵庫の写真などを撮っていたそう。専門学校を出ていたものの、「アオリを効かせて、冷蔵庫を真四角に撮る(パースペクティブによる歪みを補正する)」ことも知らなかったのでかなり“シゴカれた”そうです。でも、そこで写真の基礎を学ぶことができたのが、後々までも助かった、と。
なるほど、何を被写体にしてもいけちゃうのは、こういう基礎がきっちりと出来上がっていたからなんですね。天才は人知れず努力をしているということか。

そうそう。ただでもらえる作品リスト(正確には「作品解説」)は必ずもらってください。なんと、篠山紀信さん本人が解説文を書いています。こういうの、かなり珍しいかも。なにせ本人の解説ですから、各作品の面白いエピソードが一杯。また、モノクロではあるけれど、作品も全て載っていますので、これはもう必見です。

私が気に入ったのは「家」のシリーズ。北海道から沖縄まで、各地で古民家を写したもの。蔵を改造した家に住むおじいちゃんがこたつに入っていたり、薄暗くて床がたわんでいる部屋の向こうから裸電球の光が差し込んでいたりと、長年、人が住んでいる場所だというイメージがストレートに伝わってくる感じ。単なるノスタルジアではない、暮らしていくことの澱みまで感じさせてくれました。
あと、明星の表紙は懐かしかったかな。沢田研二にピンクレディー、西城秀樹やキャンディーズと、今見てもキラキラしていました。

二階、三階のスペースを使った二部構成になっていて、たっぷりと作品を観られます。作品解説を読みながら観ると二倍・三倍楽しめるでしょう。緊急事態宣言による休館のままおしまい、とならなくて良かった、良かった。

新・晴れた日 篠山紀信

写真展情報

  • 会期:2021/05/18 (Tue) – 2021/08/15 (Sun)
  • 開館時間 : 10:00 – 18:00(木曜日、金曜日は20:00まで))
  • 休館日: 月曜日
  • 料金 : 一般1,200円 学生 950円 中高生・65歳以上 600円 小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料
  • 公式サイト : 東京都写真美術館
  • 図録 :

コメント

  1. 中野潤子 より:

    海を渡っては来ませんよね。文化からは縁遠い蝦夷地、文人さんの解説で大満足です。

    • bunjin より:

      うむ、残念ながら。。。篠山紀信さんの解説書だけでもダウンロードできるようになっているといいのですが、それもなさそうです。いつもは作品リストがPDFファイルで公開されているんですが、今回は特別だからですかね。

  2. 中野潤子 より:

    しっかり読ませていただきました。ありがとうございます。きれいなお姉ちゃんばっかり撮っている人かと思っていたのですがさにあらずだったのですね。認識を新たにしました。家シリーズは見たいですね。

    • bunjin より:

      こんなに幅広い作品を撮っていたとは、私もこの企画展で初めて知りました。