「シン・ウルトラマン」ヒーローも今の世の中は生き辛いのか

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シン・ウルトラマン 映画・演劇
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以下の内容は、いわゆる「ネタバレ」を含んでいます。

★ あらすじ

日本に、なぜか次々と巨大不明生物が現れ、災害を巻き起こしていた。政府は「禍威獣(かいじゅう)」と名づけ、防災庁を設置、さらには専従組織として禍威獣特設対策室(通称「禍特対(かとくたい」)を設けて対抗・駆除を行うようになる。各禍威獣は名前が付けられ、これまで「ゴメス」、「マンモスフラワー」、「ペギラ」、「ラルゲユウス」、「カイゲル」、「パゴス」と六体が出現し、ペギラは都市を凍らせ、パゴスは放射性物質をまき散らし、各地に大被害をもたらしていた。禍特対の活躍により何とか駆除してきたが、七体目の「ネロンガ」には自衛隊のミサイルもことごとく撃ち落とされ、苦戦を強いられていた。

そこに、空から突如飛んできた光の球が地面に衝突し、ネロンガも吹き飛ばされる。そして現れたのが銀色に輝く巨人だった。人型の禍威獣かと慌てる禍特対だったが、その巨人は手から謎の光線を発し、ネロンガを粉砕してしまったのだ。まずはその巨人を「ウルトラマン」と名づけ、巨人の正体を探ろうとする禍特対。公安調査庁から新たに分析官となるメンバーを加え、体制を強化した。だが、なかなか手がかりが掴めない。

そんな時、外星人(いわゆる宇宙人)のザラブが表れ、友好条約を結びたいと日本国政府に対して申し出る。さらには、「ウルトラマンは他の禍威獣と同じで、人類に危害を加える存在だ」と言ってきたのだ。
果たしてウルトラマンは味方なのか、それとも禍威獣なのか。人類は、日本国政府は、そして禍特対は判断を迫られるのだった。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演:斎藤工, 西島秀俊, 長澤まさみ, 早見あかり, 有岡大貴, 田中哲司, 山本耕史, 岩松了, 嶋田久作, 益岡徹, 長塚圭史, 山崎一, 和田聰宏, 竹野内豊,利重剛
  • 監督:樋口真嗣
  • 脚本:庵野秀明
  • 制作:庵野秀明(総監修)
  • 原作監修:隠田雅浩
  • 音楽:宮内國郎, 鷺巣詩郎
  • 主題歌:「M八七」 米津玄師

★ 感想

確かに、今の世の中、怪獣やウルトラマンが現れたら、まずは軍事利用できないか、そして新たな産業が興せないかと各国政府が考えるだろうと言うのは容易に想像できる。昔のウルトラマンや科学特捜隊は怪獣退治だけ考えていれば良かったのだから、たとえ怪獣が暴れていたとしても、平和な世の中だったんだなと思う。怖いのは人、そして人の欲望、特に権力欲ってことなのでしょう。
それにしても、宇宙人(本作では「外星人」と呼ばれている)同士で協定を結んでいたり、互いのポリシーを理解しているというのもなかなか楽しい設定だ。人智の及ばぬ彼らも、収斂進化して似たような思考形態を持つに至ったといいうことだろうか。

大昔の「ウルトラマン」が戦争反対や、公害問題などをテーマにしていたが、現代のウルトラマンは何を訴えたかったのだろうか。手強い外星人たちはウルトラマンが追い払ってくれた。“最終”相手はそのウルトラマンの仲間たちがよこした強力な兵器だった。人々はウルトラマンとともに手を取り合ってそれを排除する。「最後まで諦めずに、みんなで頑張れ」ということか。それもちょっと単純かな。実際の世の中、ロシアとウクライナの戦争も、“直接的”にそれを止めることはできていない。そもそも、「みんな」が一つになっていれば戦争も起きないだろう。一つになるためには、さらにその外側の存在が必要なのかもしれない。でも、Covid-19のパンデミックでは世界中が協調して立ち向かったとは言い難く、経済力がものを言った(ワクチンを早く、大量にゲットした)。どこまでいっても一つになるのは難しいようだ。だからこそ、地球が、太陽系がなくなっちゃうぐらいの敵・他者を登場させるしかなかった訳かな。Covid-19のレベルで一致団結できるようになりたいものだ。

かつてウルトラマンやウルトラセブンがヒーローだった時代に育った世代としては、久しぶりにその勇姿を見ることができ、感激だった。設定はだいぶ今風になってはいたが、その超人・ヒーローとしての本質は変わらなかった。いつも正義の(?)味方でいてくれる。願わくば、科特隊(ではなく「禍特対」)が自前の乗り物・武器を持っていてくれれば、なお格好良くてノスタルジックな想い出にふけることができたのだが、そこだけが残念。 

★ 公開情報

★ 原作本、他

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